2003年9月2日(火)「しんぶん赤旗」
中国憲法は「女性は…男性と平等な権利を有する」(48条)とうたっていますが、現実にはいろいろ差別的な現象が残っています。男女の退職年齢の差はその一つです。これを是正しようという動きが確かな流れとなっていることが、開会中の中華全国婦女連合会(婦女連)第9回全国大会(8月22〜26日)の中で明らかになりました。(北京で小寺松雄 写真も)
![]() 北京市内の公園でコーラスする女性 |
中国では一九九二年二月に制定された婦女権益保障法にそってさまざまな労働条件が整備されましたが、退職年齢までは具体的に定めませんでした。ところが翌九三年に人事制度が改変され、その際に国家公務員暫定条例に「男性六十歳、女性五十五歳で退職」という一項が入れられ、それが今日まで続いてきました(幹部女性は六十歳まで)。これが企業などではさらに下げられ「女性五十歳で退職」が通常になっています。
制定時の趣旨としては「相対的に弱い女性の体を配慮する」といわれてきましたが、「差別は憲法に反する」「退職金も男性よりかなり少ないし、年金が十分というわけではない」という声が強まる傾向にありました。
二十四日付の中国青年報は、中国法政大学国際教育学院の夏吟蘭院長(中国婚姻家庭研究会副会長)が、婦女連大会で「婦女権益法改正チームが退職年齢問題を討議しており、改正されると、はっきりした規定ができるだろう」と述べたと報じました。
チームの一員である夏院長は「男女同一定年はこの数年、各界女性の広い関心事だった」「とくに社会経験の豊かな女性、指導的立場にいる人や技術職のことを考えると、五十五歳定年は人的資源の大きな浪費だ」と語っています。
婦女連大会の分科会議論などは外国メディアには公開されませんが、二十四日の中国国営新華社通信は「今大会では退職年齢問題が議論に」として次のような発言を紹介しています。
―五十五歳といえば力量もつき、家庭などの負担も少ない。人的資源の不平等は問題だ。(譚琳・婦女連婦女研究所所長)
―女性保護を理由に退職年齢を早くするのは、今の時代にまったく合ってない。(李萍・河南省婦女連合会副主席)
―その五年の間に、技能向上やしかるべき職責になる機会が失われる。(梅敏亜・湖南省益陽市婦女連主席)
五年に一回の大会ということもあって、思いが一気に噴き出た感があります。大会での議論は、法改正へのいっそうのはずみとなりそうです。
この年代の女性はどう感じているのでしょうか。北京市内の公園でコーラスをしていた元商店員(56)は、「私も五十歳で退職。その年代は女性の体もたいへんなの。いまはなんとか食べられるけど、希望すれば六十歳まで働けるのはいいことよ」と語っていました。