日本共産党

2003年9月2日(火)「しんぶん赤旗」

自民党政治変える旗印は…

民由合併 今月末を前に


 民主、自由両党が九月末までの合併で合意してから一カ月余。菅直人民主党代表、小沢一郎自由党党首は共同の街頭演説をスタートさせ、両党でつくる合併準備委員会では衆院小選挙区の候補者調整や地方組織の合併の動きを本格化させています。「自民党政治に代わる政権交代の受け皿」(菅代表)とアピールしていますが、自民党政治のどこをどう変えようというのか――。

■細川政権の復活■

 「小泉首相は『自民党をぶっ壊す』というが、本当に自民党をぶっ壊したのはこの小沢党首。自民党のど真ん中から飛び出し、二大政党実現に向けて走り出し、生まれたのが細川政権だった」(八月二十八日、広島市)

 八月八日の仙台市を皮切りに、さいたま、札幌、広島、福岡各市で行われた共同街頭演説で菅氏が強調しているのが、一九九三年に誕生した細川政権の“継承・復活”です。「細川政権がせめてあと一年続いてくれれば、日本の改革は日に日に進んだ。民主党、自由党が一緒になって、十年前の細川政権でやり残した改革を実行しよう」(八日、仙台市)というのです。

 細川政権は、「非自民」を看板にしながらも、「国の基本政策については、これまでの政策を継承する」と、自民党政治を受け継いでやろうとした政権です。小選挙区制、政党助成導入のほか、「国民福祉税」の名で消費税を7%に引き上げる方針まで打ち出し、結局、細川首相自身の金権疑惑によって、政権は八カ月で崩壊しました。そのやり残したことを実行しようというのであれば、政治の中身は、自民党政治の枠内ということになりかねません。

■その中身は…■

 「反自民」を主張する民由ですが、自民党政治に代わるどんな旗印を掲げているのでしょう。

 たとえば、財界の後押しで小泉政権が推進している「構造改革」――。

 菅氏は「構造改革は思い切って進めなければならないというのは正しい。リストラされた人が別の会社できちんと働けるようにするのが総理の仕事だ」(二十七日、名古屋市)と推進の立場です。小沢氏は「改革が進まないのは、政官業の癒着の構造を自民党そのものが基盤としているからだ。旧来の利権構造に浸かっていない政権をつくることが『改革の第一歩』だ」(二十九日、福岡市)といいます。

 つまり、「構造改革」が大前提で、「旧来の利権構造」にしばられている自民党には、それができないというのです。「社会保障の仕事などは地方自治体に、国の仕事は外交・防衛と都市計画のルールづくり」(菅氏、八日、仙台市)などという主張は、社会保障にたいする国の責任を放棄する自民党政治に通じるものがあります。

 民主党は、消費税の基礎年金財源化など、自由党が掲げている基本法案も踏まえ、マニフェスト(政権公約)づくりに着手。消費税率引き上げをマニフェストに盛り込むかどうかについて菅氏は、「まだ決まっていない」とする一方、「長い目で見れば福祉分野で消費税をお願いしないといけないかもしれない」(二十四日、札幌市での共同記者会見)との立場をとっています。

■米国への態度は■

 対米追随という自民党政治の大問題についてはどうか――。

 民主、自由両党は米英の無法なイラク戦争や国会でのイラク特措法に反対し、「いまのネオコン(新保守主義)に引っ張られている米国の政策はこれまでとは異質。そのまま(日本が)聞いているのはよくない」(菅氏、二十七日、名古屋市)と批判的な態度をとっています。

 一方、対米追随の根っこにある日米軍事同盟=日米安保に対しては「我が国の安全保障政策の最も重要な柱」(民主党)、「日米安保体制を堅持し…防衛力を効率的に整備する」(自由党)と肯定する立場です。そのため、日米安保を不動の枠組みとする自民党政治の基本を変える主張は聞こえてきません。(柳)


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