2003年8月29日(金)「しんぶん赤旗」
八人の幼い命が犠牲になった大阪・池田小事件。殺人などの罪に問われた宅間守被告(39)にたいする二十四回の公判で、遺族らは悲しみと怒りの証言をしてきました。そのなかで「申し訳ないとの思いはない」と開き直り、ついに謝罪の言葉を発しなかった宅間被告。判決公判では裁判長の制止を聞かず、発言を繰り返し、退廷。被告不在のままの死刑判決言い渡しとなりました。
頭を角刈りにした宅間被告は、遺族の座る傍聴席をにらむようにしながら入廷。川合昌幸裁判長が判決を言い渡そうとした瞬間、用意してきた三枚の紙をかざして、「どうせ死刑になるんや。最後にいわしてくれや」と大声で発言を要求。「認められない」とする裁判長に、「三枚程度や」「最後にいわせてや」と繰り返しました。
裁判長が「法廷の秩序維持」で退廷を命じると、傍聴席に向かって遺族の名前を挙げ、ば声をあびせました。
開廷からわずか三分ほどで被告がいなくなった法廷。裁判長は冒頭に「被告人を死刑に処する」と主文を読み上げました。最後に裁判長が裁判所の所感として「二度とこのような悲しい出来事が起きないよう、再発防止のための真剣なとりくみが社会全体でなされることを願っています」とのべると、遺族らはじっと聞き入っていました。
閉廷後、遺族の一人は「死刑判決は極めて当然。ただ、この事件をなぜ防げなかったのか、もっと社会的問題として踏み込んでほしかった。(法廷での被告の言動は)小心者だという彼そのものの姿を語っていると思う」と語りました。
弁護団によると、宅間被告が手にしていた三枚の紙には「(ある遺族から)『子供に謝ってほしい』とひたすらいわれたことについては、この人の人格が伝わってくる」という言葉がありましたが、一方では、自分を批判した遺族に対し、「仕返ししたい」旨の言葉もあり、弁護団から「不謹慎、不穏当だ」との意見を受けて、書き直した部分があったといいます。