日本共産党

2003年8月29日(金)「しんぶん赤旗」

池田小事件

宅間被告に死刑

大阪地裁判決 “十分な責任能力ある”


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池田小児童殺傷事件の判決公判の傍聴券を求めて集まった人たち=28日午前8時40分ごろ、大阪地裁

 大阪教育大付属池田小学校(大阪府池田市)で二〇〇一年六月児童八人が殺害され、十五人が重軽傷を負った事件で殺人罪などに問われた宅間守被告(39)にたいし、大阪地裁は二十八日、求刑どおり死刑判決を言い渡しました。

 同被告が公判冒頭に発言を求め騒いだため、川合昌幸裁判長は退廷を命じ、被告不在のまま判決を言い渡す異例の法廷となりました。

 裁判で検察側は「犯罪史上、特筆すべき凶悪な無差別大量殺人。極刑以外ない」と要求してきました。これにたいし弁護側は、被告は心神喪失か、心神耗弱の状態だったと主張していました。

 川合裁判長は判決で、犯行の動機について、元妻へのうらみなどから自暴自棄になり、「大量殺人を実行して自分と同じ苦しみを多くの人間に味わわせてやろう」と考えたと指摘しました。

 さらに、被告の刑事責任を問えるとした二度の精神鑑定の信用性は高いとし、被告には著しい人格の偏りがあるが、精神疾患はないと判断。「(犯行は)自己中心的で他人の痛みを顧みない著しく偏った人格傾向の発露であり、精神疾患の影響はなく、刑事責任を問うのに十分な責任能力を備えていた」と断定しました。判決は「わが子を奪われた遺族の悲しみ、苦しみや怒りは余人の安易な想像を許さない」と被害感情の強さにも言及しました。

 最後に、川合裁判長は「異例ではあるが、裁判所の所感を述べたい」とし、「子どもの被害が不可避であったはずはないとの思いを禁じえない。せめて二度とこのような悲しい出来事が起きないよう、再発防止のための真剣な取り組みが社会全体でなされることを願ってやまない」と締めくくりました。

 弁護団は控訴について被告の意思を確認したうえで決定するとしています。


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