日本共産党

2003年8月27日(水)「しんぶん赤旗」

戦争の記憶残したい

漫画家たち「私の八月十五日展」

赤塚不二夫、やなせたかし、ちばてつやさん…


 戦前、戦中を生きた九十人以上の漫画家、イラストレーター、俳優が絵と文章でつづる「私の八月十五日展」が二十六日、東京・大田区民ホール・アプリコで始まりました(二十九日まで)。主催は「私の八月十五日」の会と大田区。

 赤塚不二夫、さいとうたかを、サトウサンペイ、ちばてつや、森田拳次、やなせたかしさんらが出品。俳優の小沢昭一さんは、文章を寄せ、クミタ・リュウさんが絵を担当。戦後生まれの里中満智子さんの作品もあります。すべてボランティアでの出品です。

 自らの戦争体験を「八月十五日」という一つのテーマで、書き下ろした作品を一堂に展示するのは「おそらく初めての試みで日本漫画界の戦後史を示すともいえます」(主催者)。

 出品を呼びかけた漫画家の森田拳次さんは、「薄れゆく戦争の記憶をはやく残しておきたいという危機感がありました。八月十五日の絵手紙のつもりでかいてもらった」と話します。

 初日の二十六日は、年配の夫婦や赤ん坊を抱いた母親、青年など三百人以上が訪れ、絵と文章の一つひとつに見入っていました。

 「戦争の印象を小さいうちに見せてあげたい」という母親の意向で小学校二年生の孫を連れてきた東京・小平市の六十五歳の女性。「絵を説明してやると意味は理解できなくても『戦争をどうして始めたの』と気にしていました」と話します。

 漫画家の、あらい太朗さん(37)は「悲惨な体験を漫画というソフトな切り口でユーモラスに訴えているのが逆にリアルな写真と違ってジーンときました。戦争が終わったという不安、安ど感…それぞれの受けとめが興味深いですね」といいます。

 会場を訪れていたエッセイストの海老名香葉子さんは「満州、奉天、東京などで家族を失い、いやというほど戦争の体験が身にしみています。普段は面白く、楽しく、世の中を風刺する漫画家の先生が『悲しみ』の思いを描いている。一枚一枚に胸を打たれました。多くの人に見てもらいたいですね」と語りました。


もどる
「戻る」ボタンが機能しない場合は、ブラウザの機能をご使用ください。

日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp