2003年8月24日(日)「しんぶん赤旗」
夏の暑さがもどってきましたが、車内に置き去りにされた幼児の事故が問題となっています。炎天下、自動車の室内はむせ返るような熱気に襲われます。どれほど危険なのか国民生活センターと日本自動車連盟(JAF)の実験からみてみました。
国民生活センターには車内の高温化に伴い「チャイルドシートの金具で子どもがやけどをした」「ライターが突然、破裂した」などの苦情や相談が寄せられています。同センターは昨年九月、車内温度についての実験を行い結果を発表(一月)しました。
舗装された駐車場に軽自動車、コンパクトカー、ワゴン、セダン、ミニバンタイプの乗用車六台を前夜から放置。最高気温三二・四度、窓をしめ切った状態で車内温度は最高六〇・三度、ダッシュボード(エンジン部と運転席の仕切り板)は八六・七度、ステアリング(ハンドル)は八一・四度、シートベルト・チャイルドシートの金具は六六・五度まで上昇しました。
車内温度は、日射量の増加とともに上昇し、午前十時で五〇度以上に。窓を四センチほど開けた状態でも車内温度は一〇度程度しか低くなりませんでした。サンシェード(車載用日よけ)を使用しても車内温度は、五七・九度と約二度しか下がりませんでした。
同様に日本自動車連盟が行った「JAFユーザーテスト」でも気温三二度で三時間半放置した場合、車内温度は五八度、ダッシュボードは八〇度前後を記録しました。JAFでは「車内には自分の力でドアを開けることができない幼児やペットなどを残してはいけない。高温のため脱水状態となり非常に危険」と警告します。
また、国民生活センターが行った破裂テストでは、車内温度が五〇度を超えた場合、エタノール成分を含んだオードトワレ(香水の一種)のビンは二十分後に割れ、ダッシュボードに置いた使い捨てライターは一時間前後にガス漏れを起こしました。
ドリンクホルダーに置いた缶入り炭酸飲料は、一時間以上経過するとプルトップ(ふた)部から破裂したり、底部に変形が生じることが分かりました。