2003年8月22日(金)「しんぶん赤旗」
【ハノイ21日北原俊文】ベトナム中部のビンディン省ホアイニョン県ホアイー村ロジエウ地区の海岸でこのほど、旧日本軍のものと見られる沈没船から、十五−十六体の遺骨が発見されました。ベトナム青年連合会の新聞タインニエン(青年)とビンディン省の新聞ビンディン電子版の二十一日付が報じました。
ビンディン省にあるスクラップ業者、グエンティン有限会社が沈没船からくず鉄を回収中に、遺骨や毛髪とともに、日本語らしい文字が刻まれ、認識票の形をした真ちゅうの金属片、刀、銃砲などを船内で発見しました。報告を受けた関係機関の調査によると、一九四五年一月に連合国側の爆撃で沈没した日本軍の艦船と見られるといいます。
グエンティン社のレ・ティ・ラン社長が電話で本紙に語ったところによると、同船は第一八砲兵連隊のもの。認識票らしい金属片は、漢字で「二六七」の番号が読み取れるだけで、その他は判別できません。遺骨の多くは上肢や下肢で、黒ずんでいます。
四五年当時を知る現地住民がラン社長に語ったところでは、沈没時には若干の生存者がいて、日本に帰国しましたが、一人の死亡者の墓が今も残存しているといいます。
グエンティン社は地方行政機関の認可を得て、六月二十六日から船のくず鉄回収を始め、七月中に終える予定でしたが、遺骨を発見したため、作業を中断しました。八月十二日、公文書で日本大使館に通報しましたが、二十一日現在、まだ返答がなく、数人の作業員を見張りに立てて、大使館の返答を待っているといいます。