2003年8月22日(金)「しんぶん赤旗」
![]() サケ・マス漁業などの実態を調査する児玉衆院議員(右から3人目)、紙参院議員(その右)ら=21日、北海道根室港 |
北洋サケ・マス漁業の拠点、北海道根室市の漁業や関連産業が危機的な事態になっています。重要な漁場のロシア二百カイリ内でのサケ・マスやマダラ漁獲量の大幅削減や輸入増による魚価下落などが大きな要因。児玉健次衆院議員、紙智子参院議員など日本共産党国会調査団は二十、二十一の両日、根室市に実態調査に入りました。調査にはほかに、小泉親司参院議員の山崎静雄秘書、八木靖彦衆院道七区候補、党根室市議らが参加。
北方水域を拠点とする根室周辺の沖合漁業は、春から夏へサケ・マス流し網漁、秋のサンマ漁、冬のマダラ漁というサイクルです。
それが二百カイリ水域の設定(七七年)以後ロシア区域内での漁業がきびしさを増し、二〇〇〇年の日ロ交渉では、マダラ漁獲割当量が対前年比で80%削減(三千三百トンから六百六十トンへ)を強いられ、根室では41%(十六隻)が減船に。
さらにことし、サケ・マス流し網漁も、入漁料の値上げなど操業条件の悪化で採算面から出漁を断念する船が続出。操業船は昨年比44%減の三十四隻(ピーク時四百隻)となり、漁獲量も47%減の五千七百トンと壊滅的打撃を受けています。
調査団に藤原弘根室市長は「この問題は、北方四島が未返還のための被害。(サケ・マスの漁業交渉を)すべて民間がやれというのは限界がある。どうしても国がメドをつけていただきたい」といいます。
根室漁協の浜松慧祐専務は、ロシア海域での漁業制約や魚価安で水揚げ金額がこの二年間に43%ダウンしたと説明。「ロシアのサケマス入漁料一キロ二百九十二・五円は高過ぎて採算が合わない。入漁料が下がれば全船出漁できる」と指摘します。
この問題は、水産加工、運輸、石油、製函、造船、資材など広範な関連産業にも影響。市の調査では、マダラ漁獲割り当て減で約六十三億円、サケ・マス関係で五十四億円の影響が出ていると推計。「町が苦しみもがいている状況」「北方領土を失っていなければこのような事態にはならなかった」の声があがります。
児玉、紙両氏は「漁業でも領土問題でも、『政府は責任を果たせ』というのが共通した声であり、国会でもおおいに提起したい」と言いました。