2003年8月21日(木)「しんぶん赤旗」
総務省が二十日発表した住民基本台帳人口(二○○三年三月三十一日現在)に基づき、時事通信社が、衆院小選挙区の新たな区割りで「一票の格差」(一議席当たりの人口格差)を試算したところ、最大格差は二・一三八倍で前年(二・一二四倍)より広がりました。格差が二倍を超える選挙区も前年より二つ増えて二十一選挙区となりました。
最多人口は兵庫六区の五十六万七千六百四十六人、最少は徳島一区の二十六万五千五百三十三人で、ともに前年と同じ選挙区。それぞれ人口が増え、兵庫六区の伸び率の方が高かったため格差は広がりました。
一方、参院選挙区で一票の格差が最大だったのは、東京都(八議席)と鳥取県(二議席)の間の四・八七○倍。前年も同じ都県の比較でしたが、前年(四・八二七倍)より格差は拡大しました。
昨年七月に成立した「改正」公職選挙法(次期衆院選から適用)は、二〇〇〇年の国勢調査に基づき衆院小選挙区の区割りを「五増五減」(埼玉、千葉、神奈川、滋賀、沖縄で一増、北海道、山形、静岡、島根、大分で一減)としましたが、一票の格差「二倍以内」と「市・区町村、郡は分割しない」との原則は守れませんでした。
しかも、住基台帳に基づく今回の試算でも明らかなように、最大格差も格差二倍超の選挙区も増えているのが実情です。これは生活圏や交通圏、歴史や文化を無視して市や区が分断されるなどの弊害と同時に、小選挙区制のもとでは避けられない致命的な欠陥です。
定数を各都道府県に一議席ずつ割り当てた上で残りを配分するという小選挙区制では有権者数の調整でしか格差是正がはかれず、国勢調査で人口が変動するたびに区割りを見直さざるを得ません。先の公選法「改正」で六十八もの選挙区で線引きを変えて有権者に不便を強いることになりますが、一票の格差は解消されないのです。(古荘智子記者)