日本共産党

2003年8月14日(木)「しんぶん赤旗」

総選挙前、マニフェストばやりだが…

与党に問われる公約破り


 年内にも取りざたされる解散・総選挙を前に各党が「マニフェスト」(政権公約)づくりを進めています。小泉純一郎首相も「総裁選の私の方針が国政選挙に臨む自民党の公約になる」とのべ、マスメディアが“小泉マニフェスト”ともてはやしています。一方で「過去の公約の点検がマニフェストに向けての第一歩として必要なことではないか」(橋本大二郎高知県知事のメールマガジン七月四日号)との指摘もあります。とりわけ政権を担当する与党は、みずからが掲げてきた公約にどういう態度をとったかが厳しく問われます。


政治不信が背景に

 二十一世紀臨調(新しい日本をつくる国民会議)は七月五日、マニフェストに関する国会議員のアンケート結果を公表しました。マニフェストが関心を集めている理由として「今の政党に対する有権者の不満や不信が背景にあると思うか」との問いに、66%が「そう思う」と回答しました。

 問題は有権者の不満や不信が何によってつくられたかです。小泉「改革」三年目でくらしや経済は一向によくならず、国民の中には「いつまで我慢すればいいのか」と怒りが広がっています。

 そこへきて小泉首相の「この程度の約束が守れなかったのは大したことではない」(一月二十三日)の暴言です。直接には「国債発行枠を三十兆円以内に抑える」などの公約を守れなかったことについてのものでしたが、首相がみずからの言明を守れなかったのを「大したことではない」と言い切るのでは、国民は何を信用していいのか分かりません。

増税案は選挙後に

自民党 準備進める首相

 二十一世紀臨調のメンバー自身、記者会見で「選挙が終わってから増税案が出てくる。そういうのは国民を裏切る話だ」と指摘しました。

 一九八〇年代に中曽根康弘首相が「投網をかけるように大型間接税をかける考えはない」といいながら、選挙が終わると売上税導入構想を持ち出し、公約違反が大問題になったことがあります。

 3%から5%への消費税率引き上げでも、自民党議員は公約違反を行いました。九六年の総選挙で、比例単独候補を除く当選議員百九十七人のうち百八人が「引き上げ凍結」「実施先送り」「条件付き」などを掲げたのに、九七年四月の引き上げ実施時には何も反対しませんでした。

 小泉首相は、消費税を二ケタにする政府税制調査会の中期答申に対し、「(税率を)任期中は上げない。次の内閣の仕事だ」とのべる一方で、「(引き上げの)準備はやる」としています。増税の意図を隠しながら、九月の自民党総裁選で再選され任期三年を過ぎれば増税法案を出す狙いです。

「反対」が「断行」に

公明党 医療費負担増で

 公約破りといえば公明党です。九八年参院選で「年金水準を国の責任で維持します」と公約し、医療費についても「新たな患者負担増には断じて反対」と重点政策に掲げました。

 しかし、九九年に与党入りすると、年金支給開始年齢を六十歳から六十五歳に延期し、全世代の給付額を減らす改悪(二〇〇〇年三月)を強行。高齢者医療の一割負担を「血を流してでも断行」(江田康幸衆院議員、〇〇年十月)と推し進めました。

 医療費三割負担では、〇一年参院選に医療団体のアンケートで、サラリーマン本人の医療費三割負担に「反対」と回答していました。ところが、翌年になると、公明新聞で「成立を急ぐべきである」(〇二年六月七日付)と強行採決の先導役となり、今年四月の実施を前に各地の議会で凍結や延期を求める意見書に反対しました。

 「選挙でまったく正反対のことを国民に主張しながら、こんな態度を取って恥ずかしくないのか」。日本共産党の小池晃参院議員の追及(〇二年七月二十三日)に、負担増の責任者である坂口力厚労相は「たとえ過去にそういうふうなことを言ったことがあったとしても、時代に対応していかなければならない」と居直りました。


大事なのは自民党政治のどこをどう変えるか

佐々木憲昭政策委員長代理に聞く

 日本共産党の佐々木憲昭政策委員長代理に、公約に対する党の立場や考え方を聞きました。

 ◇

 日本共産党は、公約を抽象的でなくできるだけ具体的なものにするため、各分野で可能な限り具体的な数値目標を示し、財源も明らかにする努力を重ねてきました。

 一九九六年総選挙にあたっては「財政再建十カ年計画」を提起しました。七七年に『日本経済への提言』、九四年に『新・日本経済への提言』を発表し、五年―十年を展望した総合的で具体的な対策を示してきました。

 大事なことは、自民党政治のどこをどう変えるのか明確にすることです。自民党政治に代わる選択肢を鮮明に示さなければなりません。

 もう一つ、日本共産党が公約の問題で大切にしていることは、国民との約束を誠実に守るということです。「医療費の負担増に反対」と公約して選挙後に改悪の先頭に立つような政党がありますが、これでは「マニフェスト」どころではありません。

 確かに、国民に約束した政策が実現できないことはあり得ます。しかし、約束したこととまったく違うことをやるのは問題外です。

 いまやるべき緊急課題は、イラクへの自衛隊派兵をやめて国連中心の人道支援を行う、医療費負担を二割に戻すなど四兆円負担増を中止する、中小企業を支援する政策に転換する、大型公共事業のムダにメスを入れる、大企業に雇用責任を果たさせる……このような政策ではないでしょうか。

 私たちはいま、それを練り上げつつあります。国民の声にこたえる政策を提示し、その実現のために全力をあげる決意です。


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