日本共産党

2003年8月9日(土)「しんぶん赤旗」

「昭和の日」は何が問題?


 〈問い〉 四月二十九日を「昭和の日」にしようとする動きがすすんでいますが、どんな問題がありますか。(岐阜県・一読者)

 〈答え〉 昭和天皇の誕生日だった四月二十九日を「昭和の日」にしようとする祝日法(国民の祝日に関する法律)改悪案が、七月、日本共産党と社民党の反対を押し切ってわずか二時間の審議で衆院を通過しました。現在、参院で継続審議となっています。

 四月二十九日は現在「みどりの日」となっています。昭和天皇の死後も旧・天皇誕生日の祝日扱いを続けようとする自民党などが「国民の祝日」とすることを強行したものです。しかしその後、国民の中で「みどりの日」と昭和天皇との結びつきが薄れ、「たんなる休日」となっていくことに、自民党などは危機感を募らせています。法案は四月二十九日を「昭和の日」とすることで、天皇と結びついた“特別な日”として国民に銘記させようというのです。

 昭和天皇は、みずからが国の全統治権を握る政治体制のもとで侵略戦争を進め、国内外に未曽有の惨禍をもたらした最高責任者です。この人物の誕生日を「国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日」(祝日法第一条)とすることは、侵略戦争と暗黒政治の反省に立った日本国憲法の国民主権、平和、民主主義の原則とあいいれません。

 戦前の日本の祝祭日は、江戸時代までの民衆の伝統祝祭日を廃止して天皇制政府が制定したもので、明治天皇の誕生日である「明治節」など、宮中行事や国家神道と深く結びついていました。戦後、一九四八年に制定された祝日法は、新憲法にそい国民が容易に納得・参加できるなどの基準で「国民の祝日」を選定し、明治節などを排除しました。「昭和の日」を設ける企ては、祝日法の理念にも歴史の流れにも逆行します。

 国民感情の点でも、歴史体験などから「昭和」の名を冠することに拒絶感を抱く人は多く、形式審議で強行することは許されません。

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 〔2003・8・9(土)〕


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