2003年8月7日(木)「しんぶん赤旗」
「移動演劇桜隊・原爆忌の会」が六日、東京・目黒区の五百羅漢寺でおこなわれ、遺族、演劇関係者など約百三十人が参加しました。
移動演劇桜隊は、新劇が弾圧され映画、演劇が大政翼賛体制に組みこまれるなか、一九四五年六月に結成されました。同年八月六日、団員九人が疎開先の広島の劇団事務所で被爆し、五人が即死、四人がまもなく亡くなりました。
五百羅漢寺の「移動演劇さくら隊原爆殉難碑」は一九五二年に同寺の住職の協力のもと、桜隊隊長の丸山定夫の友人、故徳川夢声が尽力して建立されました。
追悼法要、碑前祭のあと、フルート演奏をバックにスライド上映と青年座などの俳優による朗読で九人の団員の生涯が紹介されました。「桜隊原爆忌の会」会長で俳優の中村美代子さんが講演。十代のころ築地小劇場で見た丸山定夫の演技が、「演技を感じさせない本気の演技」だった、と業績をしのび「今でも幻のように出てきてほしい」と話しました。
今月中旬、原爆をテーマにした劇「イエスタデイ」を上演する「木冬社」の団員、新井理恵さん(31)は若い仲間五人と参加。「(桜隊の)仲みどりさんが、裸にシーツをまとって(治療を受けるため)広島から東京に行った話を聞いて『生きたい』という思いが伝わってきた。戦争がなく、原爆が落ちなければ今も演技を見ることができたかもしれないと思うと残念です」と語りました。
秋葉忠利広島市長からのメッセージが紹介されました。