日本共産党

2003年8月4日(月)「しんぶん赤旗」

米政権

国連の役割拡大拒否

“イラク新決議は不要”


 【ワシントン2日浜谷浩司】イラクの治安確保、復興と主権回復に向け、国連の役割を拡大すべきだとの主張が、国連や欧州諸国から出ていることについて、ブッシュ米政権は二日、現行の占領の枠組みで十分だとして、国連の役割拡大を拒否する構えを示しました。イラク占領の軍事、政治、経済の各分野で、米政権の意思をあくまで貫こうとするものです。

 ホワイトハウスのマクレラン報道官は同日、ブッシュ大統領の休暇先であるテキサス州に向かう専用機内で記者団に対し、「国連安保理決議一四八三は、イラクの復興と安定に参加・支援しようとする諸国に十分な権限を与えている」と主張。「複数の国がいっそうの権限が必要だと懸念を示し、予備的な議論をした」が、「決議一四八三で十分だ」と繰り返しました。

 五月に安保理が採択した決議一四八三は、米軍を中心とする占領当局に広範な行政権を認め、国連は国際面での調整など補助的な役割にとどまっています。これに対し、国連事務当局や欧州諸国は新たな国連決議の採択に傾斜。七月二十二日に開かれたイラク問題での安保理会合では、ドイツが新決議採択に賛意を表明しました。

 国連のアナン事務総長は三十日に開いた記者会見で、「国連の権限を拡大し、国連にいっそうの役割を求める第二の決議」に言及。「大多数の諸国政府」が、政治、経済、軍事の各面で「取り組みの国際化を望んでいる」と、新決議の必要性を指摘しました。

 事務総長は、新決議を求めている国として、「欧州、インド、アラブ諸国」を列挙。アラブ連盟は「(イラクの事業に)参加を望むが、現行の決議では不可能だ」としていることを明らかにしました。

 ワシントン・ポスト紙二日付は、ドイツやロシアとならんで、新決議を支持している国として、米国とともに占領当局を構成する英国も挙げました。

 同紙によれば、これらの国々は(1)復興事業の受注を国際競争とする(2)イラクの主権回復の時間表を明確にする(3)相当の権限を国連に移管する―など、米政権に「譲歩」を求めているといいます。

 また、引き続く米軍の犠牲と戦費の膨張に悲鳴をあげる米議会では、「国際化」を求める声が野党、民主党だけでなく与党、共和党からも出ています。


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