日本共産党

2003年8月3日(日)「しんぶん赤旗」

ニュースと話題の?Q&A

サッカーくじのコンビニ販売

賭けに頼らず健全にスポーツ楽しみたいな



減る一方の売り上げに

文科省なりふりかまわず
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 今月二十日からコンビニエンスストアでサッカーくじ(toto=トト)を売るっていうけど、なぜなの?

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 サッカーくじの売り上げ低迷から文部科学省がなりふりかまわず進めているのさ。

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 トトは、年間売り上げ八百億円を目標に、全国販売されたが、二〇〇一年度はそれを大きく下回る六百四十二億円だった。翌年は四百二十億円で、各回の平均でも一年目の約二十億円から半分の約十億円に下がった。

 今年は新たに「トトゴール」を導入して、一年目の売上額を目標にしたけど、Jリーグの日程を半分消化して約百十五億円だけ。平均でも六・七億円と減る一方だ。

 コンビニ販売については、サッカーくじの導入時に文部省自身、青少年への影響を否定できず、国民の声に押され見送った経過があるんだ。

 当時の文相は「コンビニというのは非常に未成年者がたくさん出入りする場所……こういう場所が本当にいいのかな、率直にそう思っております」といっていたほどだ。

 ところが遠山敦子文部科学相は、たった一回の審議会の議論と答申で、あっさりとコンビニ販売を容認してしまった。

 二十日からローソンが、来年からはファミリーマートが加わることで、販売店舗が約一万三千六百店もふえる。現在の七千百店と合わせて約二万七百店舗と三倍近い。子どもたちの身近な生活の場に「toto」の旗が翻ることになれば、その影響が心配だ。

店での年齢確認もずさん

「買った」中高生一割も
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 そもそもトトって、どういうものなの?

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 サッカーの試合結果に、お金を賭けるギャンブルだよ。

 トトはJリーグ十三試合の勝敗を予想するもので、トトゴールは五試合の得点を予想する。当せん金は最高で一億円。それぞれ一口百円なんだ。

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バックスタンドの目立つところにあるサッカーくじの看板=7月27日、東京・国立競技場

 そもそも導入の経過からいっても問題があった。推進したのは、文部省や日本共産党を排除したスポーツ議員連盟で、スポーツ予算があまりにも少ないことから、スポーツ振興策の“切り札”として導入を画策したのさ。十一年前に国会で初めて法案提出しようとし、世論の反発を受け、その後五回にわたって法案提出ができなかった。六年目でやっと提出し、一九九八年に国民の反対の声を無視する形で成立させた。衆参で一貫して反対を貫いたのは日本共産党だけで、他は党内で賛否が分かれ、責任ある態度は示せなかった。

 いま、当時から反対した人たちの心配が現実のものになっている。

 法律では十九歳未満は購入できないけど、各店舗での年齢確認はされていないに等しい。あるスタジアムで五十人の高校生らに聞いたら「自分で買ったことがある」という答えが一割もいた。文科省は「これまで問題は起きていない」と強弁しているけど、チェックが甘すぎる。

お手本のイタリアも危機

振興は予算増額が本筋
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 ギャンブルの収益金でスポーツ振興をするというのは、どうなのかなぁ?

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試合前、競技場の大画面に映し出されたサッカーくじの宣伝=7月27日、東京・国立競技場

 そうなんだ。いろんな問題があるよ。その一つが、サッカーくじの“先輩”、イタリアのトトカルチョに表れているんだ。トトは急激に売り上げが落ちていて、昨年は六年前の約三分の一の七百十億円に落ち込んだ。イタリアは国のスポーツ予算がゼロで、五輪競技から大衆的なスポーツまでトトの収益金が支えているため「最も深刻な危機だ」と、スポーツ団体から悲鳴が上がっている。

 ギャンブルという不安定な財政基盤が、スポーツを支えることの問題点がここにはある。日本もサッカーくじの導入を理由に、国のスポーツ予算が削減。ところが収益が上がらないため、少ない助成金をめぐって不満が噴出している。日本体育協会傘下の地方体協も配分の少なさに「都道府県体協に冷たすぎる」と批判が相次いだそうだ。

 日本共産党も主張していることだけど、スポーツは人間の能力を発展させる文化なのだから、その振興には社会的な支援が必要なんだ。国の貧困な予算を大幅に増額することが本筋だよ。ドイツではスポーツ環境整備計画に約一兆一千億円の予算が組まれているけど、日本ではスポーツ予算全体でも、たった二百億円程度だからね。

 スポーツとは、みずからの意志で目標に挑戦し、努力する。だから運・不運が支配するギャンブルとは相いれない。Jリーグの観客数を見てもサッカー人気は上がっているのに、サッカーくじは売れていない。国民の多くはスポーツを健全に楽しみたいということだ。コンビニ販売は、こうした国民の思いに逆行しているね。


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