2003年8月2日(土)「しんぶん赤旗」
金融庁は一日、公的資金を注入した銀行グループのうち、二○○三年三月期決算で収益目標を達成できなかった赤字行など計十五行に対し、業務改善命令を発動しました。収益目標の未達成を理由に同庁が行政処分に踏み切るのは初めて。
業務改善命令の対象となったのは、一九九九年の「金融早期健全化」法に基づき資本注入を受けたみずほフィナンシャルグループなど大手五グループと地方銀行、第二地方銀行の十行。公的資金を返済した三菱東京フィナンシャル・グループと国の管理下に置かれたりそなホールディングスは除かれました。
同庁は、資本注入行に提出を義務付けている「経営健全化計画」に示された業務純益または最終利益の目標に比べ、決算の数値が三割以上下回った場合に発動する「三割ルール」を設定していました。
命令を受けた各行は、今月中に健全化計画を再提出しますが、○四年三月期の決算が再び計画目標値を下回った場合、金融庁は(1)経営者の退陣を要求する(2)給与体系見直しなど抜本的なリストラをはかる─など、厳しい対応をとる方針です。それでも経営状況が改善しない銀行については、国が保有する優先株の普通株転換を通じた実質国有化の道を探る考えです。
大手銀行は二〇〇四年度末までに不良債権比率を半減させる目標を課せられています。その一方で、収益目標の達成を求められるため、リストラだけでなく、貸出金利の引き上げ競争に走り、応じられない企業への融資打ち切りや資金回収を強める事態がいっそう進む恐れがあります。