日本共産党

2003年8月1日(金)「しんぶん赤旗」

亡国小泉語

憲法を壊す

「(イラクに派遣された自衛隊員が)殺し、殺されるかもしれない」


 「(イラクに派遣された自衛隊員が)殺される可能性はないといえば、それは言えない。あるかもしれない」「たたかって相手を殺す場合がないかといえば、これもないとは言えない」(七月九日、イラク特措法案の参院連合審査会)

 自衛隊発足(一九五四年)いらい、自衛隊員は海外で殺されたことも、殺したことも、一度もありません。自衛隊の最高指揮官でありながら、「殺し、殺されるかもしれない」と、こともなげにいってのけた首相も、かつて一人もいませんでした。

 防衛庁教育訓練局長として自衛隊員の教育や訓練を担当していた小池清・新潟県加茂市長は、イラク特措法案の廃案を求める要望書のなかで、次のようにのべています。

 「自衛隊の本務は、祖国日本の防衛であります」「(自衛隊員は)イラクで命を危険にさらすことを決意して入隊してきた人たちではない」「『事に臨んで危険をかえりみない職業だから、どこへでも行って命を落とせ』ということにはならない」

 小池市長がいうように、自衛隊の建前は「専守防衛」。小泉発言は、それを大きく踏み越えることをやろうとしていることの告白でもあります。

 実際、イラクは、占領米軍への襲撃が相次ぎ、「全土でゲリラ戦」(アビザイド米中央軍司令官)といわれる深刻な紛争状態にあります。そういう戦場に自衛隊の陸上部隊を派遣することなど、「専守防衛」の建前からいっても、あってはならないことなのです。

 それを承知で派兵を強行しようとする首相。その口実としてもちだすのは「自衛隊(が行うの)は非戦闘地域での活動だ」というものです。「非戦闘地域」で活動すれば、自衛隊が武力の行使をすることもないし、米軍の武力行使と一体化することもないというのが理屈です。

 ところが、イラクのどこに「非戦闘地域」があるのかと追及された首相は答弁に窮し、「私に聞かれたって、分かるわけないじゃないか」(七月二十三日、党首討論)と開き直りました。

 イラクに派遣された自衛隊が襲撃された際に認められている武器の使用と、憲法が禁じる武力の行使はどこが違うのかと追及されると、「はっきりしないといえばそうだけれども、たとえば憲法九条もそうだ」(七月九日、イラク特措法案の参院連合審査会)と、憲法に責任を転嫁しました。

 憲法をこんなにもぞんざいに扱って、自衛隊のイラク派兵をなにがなんでも実現しようとする−。その結果が「(自衛隊員が)殺し、殺されるかもしれない」なのです。

 有事法制の審議のさい、首相は「自衛隊が軍隊であると正々堂々と言えるように、将来やはり憲法を改正するというのが望ましい」(五月二十日、参院有事法制特別委員会)と言明しています。憲法そっちのけの姿勢が行き着く先です。

 (随時掲載)


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