日本共産党

2003年7月27日(日)「しんぶん赤旗」

自衛隊を送ってはならない

イラク特措法 全国・地方紙も批判


 イラク特措法の成立を報じた二十六日付の全国紙、地方紙の「社説」では、「憲法の根幹にも触れかねない」(「熊本日日」)重大法案にもかかわらず、「お粗末な答弁に終始した」(琉球新報)まま成立させた政府・与党の姿勢への批判が少なくありません。

危うい「大義」

 特徴的なのは、特措法の前提であるイラク戦争の正当性が揺らいでいることへの批判です。

 琉球新報は「戦争の大義の『大量破壊兵器』が、いまだ発見されない」「米国ではウラン購入情報がねつ造であったことを公式に認め、英国では情報操作疑惑にからみ科学者が自殺、国内が騒然としている」と指摘。「『戦争の大義』が危ういにもかかわらず、小泉首相はなお『フセインが見つからないからイラクにフセインがいなかったとは言えない』の強弁で、大量破壊兵器の存在を訴える。なぜ、自衛隊派遣なのか―国民は理解できないままだ」と批判します。

 「東京」も「自衛隊を派遣しようという構想を、現時点で積極的に支持できないのは、米英両国が主導した戦争の大義に、深刻な疑問がつきまとっている事情にも理由がある」とのべています。

武力行使の危険

 共通して指摘しているのは、実際に派遣されれば違憲の武力行使につながりかねない危険性です。

 「熊本日日」は「実質的には占領行政下にあるイラクへの自衛隊派遣は、憲法が禁じる海外での武力行使や武力行使との一体化が避けられないのではないか、これが常識的な見方だろう」と指摘。

 「北海道」は、小泉首相の「どこが非戦闘地域か、私に聞かれたってわかるわけがない」との答弁は「無責任の極み」と強調。「イラクの実情、米英軍の直面する現実を無視した『空理空論』の法と言える」「法が成立しても政府の答弁内容を振り返る限り、派遣を強行する理由はどこにもない」と批判します。

 沖縄タイムスも、世論調査で派遣反対が増加していることをあげ、「イラクでは依然として米英両軍の犠牲者が相次ぐなど、自衛隊派遣に疑問を持つ国民世論が強まっている」と指摘。「高知」も、この世論の変化に対し「国会での法案審議は、国民の不安や疑問にこたえる責務があったが、…政府の答弁は説得力を欠いた。審議を重ねるほど、矛盾点が浮き彫りになったとさえ言える」とのべています。

選挙の争点に

 「朝日」は「法律ができたからといって、こんな状態のイラクに自衛隊を送ってはならない」と強調。同時に政府・与党が進める自衛隊海外派遣の「恒久法」制定の動きについて「今度のような問題だらけの海外派遣を恒久化されてはたまらない」と批判。「居酒屋談義のような政治家の放言は後を絶たず、その責任もまともに問われないまま、まかり通っていく。そんな政治は変える必要がある。…この特措法と自衛隊のイラク派遣問題を、選挙の争点に据えなければならない」と主張しています。


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