日本共産党

2003年7月24日(木)「しんぶん赤旗」

クローズアップ

池子に米軍住宅もってくるな

横浜 四基地返還は無条件でこそ

日米協議は地位協定に背く


 横浜市内の米軍基地四施設(上瀬谷、深谷、根岸、富岡)返還の日米協議の合意で、逗子市にまたがる池子住宅地区(約二百八十八ヘクタール)の横浜市部分(金沢区、約三十七ヘクタール)に米軍住宅約八百戸を建設することが条件とされています。この問題が、住民の怒りを呼んでいます。

 (神奈川県・岡田政彦記者)


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豊かな緑が連なる池子の森の横浜市部分。国はこの緑を壊し て米軍住宅800戸を建設しようとしています=横浜市金沢区

 防衛施設庁は、八百戸のうち四百戸は、根岸住宅地区(横浜市中区など、約四十三ヘクタール)にある老朽化した住宅約四百戸の移転・新築分、残りの四百戸は、「米海軍住宅の不足分」に対応するものと説明しています。「住宅建設の問題については、関係自治体と調整する」としています。

住民意思を無視八百戸もの建設

 池子住宅地区には現在、逗子市側の約八十二ヘクタールに八百五十四戸の米軍住宅(高層棟八棟五百二十八戸、低層棟六十棟三百二十六戸)があります。

 今回の追加建設は、これにほぼ匹敵する戸数の米軍住宅を、半分以下の面積の横浜市側に建設するというものです。

 六月に中田宏・横浜市長らに池子を含む金沢区内の米軍基地の全面返還を要請した金沢区原水協理事の松本志津子さん(68)=同区片吹在住=は、「池子の返還は、区内の連合町内会長全体が参加する『池子(横浜市分)接収地返還促進金沢区民協議会』が、長年にわたって国に要請してきたもの。その住民の意思を無視して八百戸もの米軍住宅を建設することは絶対に許せません。相当量の緑がなくなることもはっきりしています」と怒りをぶつけ、「中田市長は、米軍住宅建設に反対し、基地の無条件全面返還を求めてほしい」と訴えます。

 中田市長は、米軍住宅建設について、「複雑な気持ちだ」とし、「状況の詳細を国によく確認したい」とコメント(十八日)しています。

基地たらい回し逗子市長も抗議

 日米協議の合意では、池子への米軍住宅建設が、四施設返還の条件とされています。

 しかし、日米地位協定の第二条三項では、米軍の施設、区域について、「必要でなくなったときは、いつでも、日本国に返還しなければならない」と明記しています。

 米軍住宅建設という条件づけは、地位協定の規定に反するものです。

 国と県、逗子市との間では、米軍住宅受け入れにあたり追加建設は事実上ないものとした五項目の合意(一九九四年)があります。合意書では、「住宅建設戸数の限度を遵守すること」とした逗子市の三十三項目の要望(八四年)に対応することが明記されています。

 長島一由・逗子市長は、米軍住宅追加建設に対し「国・県・市の合意をくつがえすもので、到底認められない」と厳しく抗議しています。

 国側は、三者合意について「横浜市部分は対象外」などと言い出していますが、逗子市は「三者合意で逗子市部分、横浜市部分を分けて協議したことはなく、一体のもの」(市基地対策課)と説明します。

 同市久木に住む新日本婦人の会逗葉支部長の梅川照子さん(63)は、「逗子市民として米軍住宅の追加建設は絶対に許せません。これでは基地のたらい回しです。追加建設に反対している長島市長を支えていきたい」と話します。

日本共産党が一貫して要求

 日本共産党は、国会議員団、県議団、横浜、逗子両市議団が、一貫して基地の無条件全面返還を求めてきました。

 逗子の岩室年治市議団長は、「議会と市民、市長は今年始めからくり返し、国に事実確認をしてきましたが、国が、その時点では否定しながら現実には準備を進め、三者合意五項目をほごにして米軍住宅の追加建設をすすめようとしているのは認めがたいことです。議会、市民、市長が一致して反対の意思を強め、頑張りたい」と表明。横浜の大貫憲夫市議団長も、「基地返還と引き換えの米軍住宅建設は断じて認められません。市内基地の早期無条件全面返還を」と要求しています。


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