日本共産党

2003年7月22日(火)「しんぶん赤旗」

日本共産党創立81周年記念講演会4首長のあいさつ(大要)


 日本共産党創立81周年記念講演会(十八日)では、不破議長の記念講演とともに、四人の党員首長のあいさつが感銘を与えました。「四人の首長のあいさつに勇気がわいた。視界が開けたようにうれしかった」「21世紀の近い未来の日本を見た気分になりました」などの感想が寄せられました。紙面でくわしく紹介してほしいという要望がありましたので、あいさつの大要を紹介します。


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中里長門・陸前高田市長

市民の目線ですすめる市政

岩手・陸前高田市 中里長門市長

 ご紹介をいただきました陸前高田市長の中里長門でございます。(拍手)

 日本共産党創立八十一周年記念講演会にお招きをいただきまして、そして、こうしてごあいさつの機会もいただきまして、大変緊張しておりますけれども、本当にうれしく思っております。創立八十一周年、本当におめでとうございます。

 陸前高田市は、岩手県の南端にございまして、人口二万六千人という小さな市です。陸中海岸国立公園のなかにありまして、本当に、海、山、川、すぐれた自然に恵まれた本当にいい街でございます。

 しかし、近年市政の方は、倒産した、経営破たんしたホテルを市が買い取ったり、あるいはそのホテルのわきに、八億円もかけて、タラソテラピーという施設をなんとしてもつくろうとしたり、そういう市民の声が届かない市政が続いておりました。

 なんとしても、こうした市政を変えて、市民が主人公の市政をつくろう、こういうことで、政治的立場の違う議員八人が結束して、そして、多くの市民の皆さんが草の根のがんばりをして、市長選挙に勝利をいたしました。この二月のことでございます。(拍手)

 いらい五カ月余がたちました。皆さんの大きな声援をいただきまして、議会のたびに傍聴席をうめていただく皆さんの励ましをいただきまして、私も公約の実現に取り組んでまいりました。

 何よりも選挙で最大の争点になった八億円のタラソテラピー計画を、直ちに中止をいたしました。(拍手)

 そして、市民の暮らしの応援、国保税一世帯あたり一万五千円の引き下げ、乳幼児医療費就学前までの助成の拡大等々を実施することができました。(拍手)

 また、地元の産業支援ということでは、基幹である水産業、三月の低気圧で大変な被害をうけました。その施設被害にたいして、県の協力もえて、被害額の約五割を助成して、漁民の皆様を励ましてまいりました。

 また、私自身のことでいえば、市長選挙で公約した市長報酬二割削減、あるいは市長交際費の半減と全面公開、市長専用車を廃止する、そうしたことを実施いたしました。私は、初登庁のときと同じように、今、軽トラックで市役所に通勤をしております。(拍手)

 何よりも市民の皆さんの目線で、市民の皆さんの声を聞いた市政をすすめる、そういうことで、市長と語る会ということを制度化しました。また、市長直送便という形で、市民の皆さんが市長に直接手紙を出せる、そういう仕組みをつくりまして、歓迎されているところでございます。

 地方自治体は、本当にさまざまな課題が山積しておりますが、市民の皆さんと力を合わせてがんばれば、いい街づくりができる―この間、そういう実感をもっているところです。

 日本共産党は、本当に一貫して地方自治を重視してきた政党でございます。今度の綱領改定案でも、地方政治の変革の重要性をきちっと位置付けをしておられます。市長としては、本当に励まされることでございますし、うれしく思っているところでございます。是非がんばりたいと考えております。

 八十一年の輝かしい歴史をもっている日本共産党の躍進をご祈念申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。大変ありがとうございます。(拍手)


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田中勝已・木曽福島町長

保守系の人とも手をつなぎ

長野・木曽福島町 田中勝已町長

 皆さんこんばんは。長野県木曽福島町長の田中でございます。皆さんから、力強いご支援、ご協力をいただきまして、昨年三月、二期目の出発をすることができました。本当にありがとうございました。(拍手)

 先日、私のところに二期目の選挙で応援してくれた保守系の方から電話がありました。「共産党はこんど綱領を変えて天皇制も自衛隊も認めるようだ。おかげで、私も町長を応援しやすくなった」―もちろん、これは綱領改定案をよく読まれたうえでの意見というのではありませんが、こういう電話をいただきました。地方政治ではとくにそうだと思うのですが、保守系の皆さんのご支援をいただくということが、非常に大事な課題です。そういうことを、この間、私、つくづくと考え、実感してまいりました。一期目の選挙のときは、何人かの保守系の議員の皆さんが私を支持して応援してくれまして、結果は、五五%の得票で当選いたしました。昨年三月の二期目の選挙のときは、もっと広範な、いろんな人からご支持をいただき、六七%、約七割近い得票でした(拍手)。ありがとうございました。

 だいたい、共産党の人が首長選挙に立候補すると、新聞に「独自のたたかい」とか、「当選を度外視したたたかい」などと報道をされることが多いわけです。ほとんど当選の可能性もないとか、当選をめざしてのたたかいではないというように、見られるわけであります。しかし、保守の皆さんが参加すると、評価が変わるということがあります。“これは真剣にやっている”、“当選するかもしれない”と。それから、候補者にたいする評価も変わり、有権者の見方も変わるのではないかと思います。

 今、地方自治体は、国ももちろんそうですが、非常に大きな矛盾、大変な課題が山積しております。こうした問題にたいし、まじめに、真摯(しんし)に取り組んでいる人たちと手を組んで、政治的には保守的な立場に立つ人たちとも、当面の課題を解決するために団結して、地方で政治を変えていく、そういう流れをつくっていくということは、綱領の観点からみても、非常に大事な課題だと、私は実感するわけであります。地方で、そういうまじめな人たちと、統一戦線を組むような、そういったたたかいを全国の皆さんが展開されたら、地方の政治も大きく変わっていくのではないだろうかと、このことを思ったりするわけであります。

 いま、日本は、経済でも、それから、社会的にも、本当に大変な、困難な時代に直面しています。矛盾がさまざまな形で噴出しているだけに、その解決のためにいっそう力をつくすことが、大事になっていると思うわけであります。

 今、私たちの町、木曽福島町では、木曽福島町周辺の七町村と町村合併の協議が進んでおります。この五月には、法定協議会が発足いたしまして、私は、初め辞退したのですが、推されて、法定協議会の会長という立場に立つことになりました。木曽郡の七町村のなかで、木曽福島町は中心の町です。そういう立場になったのでありますが、町村合併が問題になっている機会に、地方自治がもっとも豊かに花開く、そういう自治の新しい町をつくりたい、こんなことで一生懸命努力をしております。

 最近、ある長野県内の識者が、この私どもの研究を評価されて、こういうコメントを下さいました。

 「しかけられた合併政策のなかで、したたかに住民自治の陣地を守りながら、さらに拡大する営みと努力が始まっている。また、それをのりこえる理念とエネルギーが潜んでいる」―こういう評価をいただきました。(拍手)

 どうぞ皆さんも、日本共産党の事業で大きく成功されることをご期待申し上げまして、この記念集会にたいする私のあいさつとさせていただきます。今日はどうもありがとうございました。(拍手)


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東野敏弘・黒田庄町長

町長室を開放、気軽な交流

兵庫・黒田庄町 東野敏弘町長

 皆さんこんばんは。兵庫県黒田庄町長の東野です。(拍手)私の町は、生まれたばかりの赤ん坊から百三歳の高齢者の方まで合わせても八千人という人口ですから、こんなにたくさんの方々を前にして、今緊張しています。

 黒田庄町―私は大変好きな名前です。荘園の名残を残す自然豊かな街なみを表わしていますし、明治二十二年に黒田庄村ができて以来、合併を経験していない、そういう町でもあります。

 その町が、私が就任する六年前までは、部落解放同盟が支配する、ものの言えない町でした。自由にものが言える、町民が主人公で、開かれた黒田庄をつくろう、そういう住民の方々の熱い思いのなかで、当時、中学校の教師であった私が町長に就任させていただきました。田中町長と同じ時期に再選を果たして、今二期目、六年目をむかえています。(拍手)

 中学校の教師でしたから、議会の傍聴に行ったこともありませんし、行政のこともまったく知りませんでした。町長という仕事は、町の新しい施策や、いろんな支出、一つひとつ決裁という形で、最終的に印鑑を押していきます。そういう意味では、やりがいのある仕事であるかわり、大きな責任を問われます。私が就任したときは、助役も収入役もおりませんでしたから、わからない書類を見て印鑑を押さなければいけないということで、えらく緊張しました。十二時までに帰れたことはありません。わからないことは、職員を呼んで、しつこくしつこく尋ねて、決裁の印鑑を押します。

 六年前に就任してから、出張とか、そういうことがなければ、私は、朝の七時半には役場に入っています。役場玄関の左手に町長室があるものですから、この季節、窓を開けていると住民の方であれ、職員であれ、町長がいるかいないか、何をして、誰と話をしているか、すべてわかります。ガラス張りの知事室が長野県で有名になりましたが、黒田庄は初めから外から町長室が見えます。気軽に住民の方々があいさつしてくれたり、職員が出勤をしてくる、そういう人を出迎えるのを、楽しみにしています。

 第二十三回の党大会にむけて綱領の改定案が出されました。不破議長の報告によりますと、改定案をつくるにあたって、多くの人々にわかりやすい綱領となるように表現をあらためるということに主眼をおかれたとのことです。地方自治を預かる者として、まったく同感であります。住民の皆さんが何を考えているのか、どういう要望をお持ちか、そのことに耳を傾ける、そして、町長がいまやろうとしていることが住民の方々に理解されてこそ、住民が主人公の政治ができるのではないかと思っています。

 そのため、毎年、八月から九月にかけて、すべての集落に町三役で出向いて行って、住民の皆さんから、ご要望を聞く住民懇談会をもってきました。たくさんの要望が出て、それを次の年に予算化をしていく、また、私がいま考えていることを住民の皆さんにお話しをする、そんな機会としてもたさせていただいています。そして、月一回第三土曜日の午後、町長室の開放をしています。たくさんの町民の方々が、毎回楽しみに来てくださっています。高齢者の方がとくに、「いっぺん町長室に入りたかったんや」と喜んでいただいています。歴代の村長さんから私まで、写真が飾ってありますので、自分の小学校の入学式のときはこの人が来たんだなと、そんなことを楽しくお茶を飲みながら話をして下さっています。そんななかでこそ、自分の町だという誇りがもてる、というふうに思っています。

 黒田庄町が、自慢できる施策のひとつに、福祉送迎車という制度があります。私は選挙で、福祉バスを走らせると公約しました。けれども、初めて女性で課長になった職員が、老人会の方や障害者の方とひざを交えて話をするなかで、「町長、それはあかん。バスだったら停留所まで歩いていって、時間を気にしながら待つということをする。町には、マイクロバスではなくて、ワゴン車、リフト車がある。ワゴン車だったら、狭い道を通って、自宅から目的地まで送り迎えすることができるから、ワゴン車を走らせよう。そして、元気な高齢者がたくさんいらっしゃるから、そういう方に運転をお願いしよう」、というふうに制度化してくれました。いま、町内だったら、お年寄りの方、障害を持っている方、前の日に予約をしていただければ、自分の家から役場や買い物、病院などまで送り迎えができるようになりました。町外へは、送りは送迎車を使い、帰りはタクシーチケットを使ってタクシーで帰ってくる、こんなふうな形で、八千人の町ですが、昨年は、のべ四千人を超える方にご利用いただいています。(拍手)

 また、今年二月に、若者定住をめざして、六階建て三十六戸の町営住宅を建設しました。若い人たちに相談をかけたら、マンション風の町営住宅を建ててほしい、こういうことが総意でありました。黒田庄では役場が三階建てで一番高かったわけですから、六階建てというのは遠くから目だって、今、名所になっています。(拍手)

 そして、ゲートボールで世界一になるとか、世界陸上で黒田庄出身の子が走るとか、スポーツが大変熱心な町ですので、住民の方々から、利用しやすいスポーツ公園をつくろうという提案をいただき、今年度から、整備にとりかかることができました。住民の皆さんが自分の町だという実感がもてる、そういう中でこそ町は良くなるんだなと、あらためて思いました。

 私は、一九七四年十一月二十二日、ちょうど私の二十歳の誕生日に日本共産党に入党しました。その日は兵庫県で八鹿高校事件が起きた日です。私自身、部落問題を解決したい、そういうふうな思いを強くもっていました。警察権力と一緒になって高校の先生を殴る蹴る、そんなひどい暴力行為にたいして、日本共産党の方々が体をはって守られる、正義を貫く、そういうふうな姿に接して、この党なら信頼できる、自分の生きかたをまっとうできる、こういう思いで入党させていただきました。

 以来、二十八年間、信頼できる党員の仲間の方々や住民の方々に支えられて今の自分があると考えています。町長職というと、さまざまな妨害があるわけですが、一方で、甘い誘いもあるわけです。日本共産党員としての生きかたが、自分を支えている、そんな思いをしています。まだまだ未熟な自分でありますが、日本共産党の党員である、このことを誇りに思いながら、また、多くの住民の皆さんの期待にこたえるべく、精一杯、町長職をまっとうしていきたいと考えています。(拍手)

 こうした晴れの場で発言させていただきましたことに感謝を申し上げ、私のごあいさつを終わらさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)


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山田兼三・南光町長

「ひまわり祭り」 農家と協力

兵庫・南光町 山田兼三町長

 こんばんは。兵庫県南光町長の山田兼三でございます。日本共産党は、このたび創立八十一周年を迎えましたが、私は、党創立五十周年記念の党勢拡大運動のときに入党いたしまして、それから党歴三十一年であります。光栄にも永年党員証をいただき、きょうは、その記章をつけて参加させていただいています。(拍手)

 そして私は、南光町長に就任して、現在、六期二十三年目を迎えております。(拍手)

 私が初当選したときの町長選挙の最大の公約は、自由にものが言える町をつくろうということでした。それだけ当時は、同和問題で非常に混乱しておりまして、町民の皆さんが町政に自由にものが言えないという状況があったのですね。日本共産党員ならば、どんな圧力があってもそれをはねかえしてがんばって、良い町をつくってくれるだろうということで、思想・信条の違いを超えて町民の皆さん方が支援してくれました。

 その後、一貫して、住民とともに進む「住民が主人公」の民主町政の前進をめざしてがんばってまいりました。就任してすぐに、住民とひざを交えて懇談する行政懇談会をしまして、町民の皆さんが町政にたいして自由に発言できる場をもってきました。

 議会も、発言は自由であります。この二十三年間、議会での質問時間とか質問回数の制限はいっさいありません。常に、裏工作なしの真正面からの議論を展開しております。町民の皆さん方の傍聴も、本会議、委員会ともに自由であります。まさに、ガラス張りの議会運営、町政運営を一貫しておこなってきたと、そういう状況ですので、いわば、隠し事がないわけですね。この二十三年間、町政に関して汚職腐敗事件は一切ないという状況でございます。(拍手)

 その結果、町民の町政にたいする参加と協力、そして信頼がずっと広がってきまして、町政と町民が協力して町づくりをすすめていくという、いろんな成果をあげることができてきております。

 南光町は、明日から七月末まで「ひまわり祭り」を開催します。南光町でヒマワリを団地栽培して、今年で十四年目になるのですが、この取り組みも、農家と役場が力を合わせて、休耕田をどういうふうに活用しようかということで発想し、取り組み出したのがきっかけであります。いまでは、南光町はヒマワリの町として有名になっておりまして、昨年は、十五万人の方が「ひまわり祭り」に観光でこられました。今年は、東京ドームの八倍ぐらいの面積、約三十ヘクタールに百五十万本のヒマワリが咲き広がります。南光町に咲き広がる一面のヒマワリ畑は平和な町のシンボルでもあります。ぜひ皆さん方もお越し下さい。(拍手)

 今年は、わが国の伝統文化であります歌舞伎が誕生して四百周年と言われております。南光町では、この秋に町内にございます、国の重要文化財の農村舞台で、小学生が子ども歌舞伎を演じます。この取り組みも、十二年前に南光町で全国へき地教育研究集会が開かれたときに、住民の皆さんと役場が一緒になって農村につたわる伝統文化を復活しようということで取り組むことになったのです。子どもたちが、本格的な衣装を身に着けて、歌舞伎役者になりきってすばらしい歌舞伎を演ずるものですから、親も一生懸命応援します。おじいちゃんやおばあちゃんも、昔自分たちがやった経験があるものですから、三世代盛り上がって、地域全体の交流の場になっております。

 また、福祉の分野でも、この間、さまざまな前進をはかることができました。一期目に手がけた取り組みのなかで、南光町歯科保健センターという、町営の歯科診療所がございます。これは、八十歳になっても、二十本以上自分の歯を残す「八〇―二〇運動」の発祥地ということで、全国的に有名になっております。医療全体におきましても、日常的に、早めに保健予防運動に一生懸命力を入れてがんばってきております。その結果、最近、兵庫県がとりまとめた国民健康保険の調査で、保険者一人当たりの国民健康保険料は、南光町が兵庫県下八十八市町のなかで一番低く、一番安い料金になっております(拍手)。それも、みんなで健康づくりをすすめてきた成果であります。早め早めに措置していくということの成果ですね。

 保育料につきましても、国の基準額の平均五〇%以下に低く据え置いておりまして、保護者の方から、大変喜んでいただいております。

 このたび、二十三回党大会に向けて党綱領の改定案が提起されております。そのなかで、先ほどお話ございましたが、天皇制の問題、憲法における天皇制の問題につきましても、あらためて判断がおこなわれておりますが、私は、宮内庁から昨年、秋の園遊会に招待されました。貴重な経験ではないかということで、夫婦で赤坂御所に初めて行ってまいりました。町長を長いことやらしていただいておりますと、いろんなことがあるものです。(拍手)

 二十一世紀の早い時期に、真に国民が主人公といえる民主連合政権をぜひ樹立しなければなりません。そのために日本共産党が、いっそう大きく躍進することを、心から祈念いたしまして、私のごあいさつにかえさせていただきます。ともにがんばりましょう。(拍手)


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