日本共産党

2003年7月10日(木)「しんぶん赤旗」

国民欺いて戦争へ駆り立てた
大量破壊兵器保有の証拠なし

英下院委報告書 イラク情報操作疑惑深まる


 【ロンドン8日西尾正哉】ブレア政権の情報操作疑惑に関する下院外交委員会は七日、調査報告を公表。ブレア政権が戦争の根拠とした情報文書の正確さについては「結論は依然でていない」と指摘し、政府にたいしイラクの脅威が深刻だと判断した証拠を改めて示すように求めました。多くの疑惑が残され、メディアはブレア政権が国民を欺いて戦争へ駆り立てた疑惑がいっそう深まったと一斉に批判しています。


メディア一斉に批判

首相ら断罪

 「有罪だ! イラクが大量破壊兵器を保有し使用するとの虚偽の根拠で国民を戦争へと駆り立てた」―大衆紙デーリー・ミラー八日付は調査報告を受けてブレア首相、ストロー外相、フーン国防相の顔写真を並べてこう断罪しました。

 同紙は、「トニー・ブレアはサダム・フセインが大量破壊兵器を保有し使用できるとの明確な証拠もなしに戦争を行った。…外交委報告は、欠陥だらけの証拠に基づいてどうして戦争にいったか説明するようにブレア首相にさらに圧力をかけるものとなった」と指摘しました。

 調査報告は、ブレア政権が「議会を誤って導いたものではない」との一節を盛り込みました。これは、委員会の構成が十一人中、委員長以下七人までが与党労働党議員が占めるなか予想されていた結果でした。むしろブレア首相がイラクの脅威をあおる根拠にした二つの情報文書が、政府の信頼を掘り崩すお粗末なものと断定した点が注目されました。

疑問に答えよ

 ガーディアン紙八日付は「ブレア首相よ、重大な質問に答えるときだ」との見出しで「政府はイラク戦争の強行に関し新たな課題に直面した」と指摘、「〇二年九月の情報文書が示した大量破壊兵器に関する判断はまだ有効と考えているのか」などの疑問に答えるべきだと主張しました。

 同紙は社説でも「報告全体の調子は圧倒的に懐疑的だ。距離を置き、注意深い表現に満ちている」と指摘、「報告は閣僚らが答えなければならない課題を多く含んでいる。閣僚が、この報告が政府のイラク戦争の決定を弁護するものと考えるなら、自分自身や国民、もしくは両方を欺くことになるであろう」と主張しました。

 フィナンシャル・タイムズ紙同日付社説は「偽物と証明された理由で国民を戦争へと駆り立てたことにたいし謝罪しなければならないのはブレア首相だ」と批判。最後に「ブレア首相が信頼される政治家として評判を回復したいのなら、イラクの脅威をどうしてあれほどまでに誤ったのかを説明しなければならない」と結びまし た。

 ブレア首相は七日、下院連絡調整委員会に出席し「議会や国家を欺いたことはない」と否定しました。しかし野党第二党、自由民主党のケネディ党首はフィナンシャル・タイムズの投稿で、「必要なことは裁判官による独立した調査だ。この調査は政府のすべてのレベルにアクセスでき、ブレア首相もその証人として出席すべきだ」と指摘するなど、疑惑追及の声が上がっています。


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