日本共産党

2003年7月9日(水)「しんぶん赤旗」

原発のバックエンド費用の負担を国が検討?


 〈問い〉 政府は原発の使用済み核燃料の処分などのバックエンド費用の肩代わりを検討するようですが、これまでの宣伝と矛盾しませんか。(愛知・一読者)

 〈答え〉 原子力発電所から出る使用済み核燃料の処分や、再処理、廃炉の解体・撤去などの工程を「バックエンド」と呼びます。その技術や環境負荷などはほとんど未知の領域であり、バックエンド費用も考慮すれば原発は高くつくと指摘されていました。しかし政府や電力会社は“原発は安あがり”だとして増設を続け、一九九九年には、いまもトラブル続出の原発を四十年運転するなどの想定で、バックエンドを含む原発の発電原価は、他の発電より安い「一キロワット時あたり五・九円」との「試算」まで示しました。

 ところが、今年六月に成立した電力小売り自由化拡大法案の趣旨説明で、平沼赳夫経済産業大臣は、原発の「バックエンド事業全般にわたるコスト構造、原子力発電全体の収益性等を分析、評価する場を立ち上げる」「平成十六年(二〇〇四年)末までに、経済的措置等具体的な制度、措置のあり方について検討を行い、必要な措置を講ずる」と述べました。

 この趣旨説明は、法案の下地となった、政府の「総合資源エネルギー調査会」の報告にもとづきます。同報告は“「長期安定運転」が原発の強み”などとする立場のものですが、原発やバックエンドについて「詳細な安全規制上の方針策定、科学的知見の集積、事業の見通し等が不十分」で、「現時点では措置を具体化することができないもの」もあると認めています。

 原発のバックエンド費用では昨年、“二〇四五年までに三十兆円”との試算があると一部報道機関が報じました。政府は公式には試算の妥当性を否定しましたが、電力会社らは、自由化で参入企業に自社送電設備などを安く使わせることを背景に、国に対しバックエンド費用肩代わりの要求を強めています。原発の増設路線を問い直さずに、なし崩しの肩代わりは許されません。

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 〔2003・7・9(水)〕


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