日本共産党

2003年7月7日(月)「しんぶん赤旗」

チェチェン武装勢力のテロ

紛争解決に暗雲


 モスクワのロックフェスティバル会場で五日発生した自爆テロの犠牲者には、一九八〇年代生まれの男女の名前が目立ちます。北国の短い夏を惜しみ、音楽を求めて集まった若者たちの命が一瞬にして失われた惨劇に、市民の怒りが高まっています。

 治安当局によると、犯人はロシア南部チェチェン共和国の武装勢力とみられる女性ら。武装勢力は昨年十月、モスクワで劇場占拠事件を起こし、その後も自爆テロを繰り返しています。ロシア軍の攻勢で追い詰められ、今年三月の住民投票でロシア残留を内容とする共和国憲法が承認されるなか、武装勢力は一般住民を巻き込む自爆テロに重点を移しています。いかなる口実を設けようと、テロ行為が国民から支持されるはずはありません。

 武装勢力との対話を拒否しているプーチン大統領は四日、チェチェン共和国大統領選挙の十月五日実施を決定。続いて共和国議会選挙を通じて「軍事占領」に終止符を打ち、合法権力の不在状態を解消したい考えです。しかし、今回の事件でモスクワを含むロシア全土で警戒態勢を強めざるをえず、軍事・治安色を薄めた紛争解決には暗雲が立ち込めています。

 野党・右派連合のネムツォフ代表は五日、「チェチェンの悲劇は正常化どころか袋小路に陥っている」と指摘。共和国大統領選の実施に疑問を投げかけ、「連邦政府がチェチェン紛争の平和解決に真剣に取り組まないなら、チェチェンどころか全国で平和を保つことは不可能だ」と批判しました。一方、「今回の事件は国際テロ組織の仕業だ」(ミロノフ上院議長)として軍事掃討作戦の継続を求める声もあります。

 今年十二月にはロシア連邦下院選、来年春には大統領選が実施されます。支持率七割を誇るプーチン政権ですが、チェチェン情勢の動向次第では、順風とはいえない状況が生まれる可能性があります。

 (モスクワで北條伸矢)


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