日本共産党

2003年7月6日(日)「しんぶん赤旗」

地方紙社説が批判

イラク特措法案

“疑問ますます膨らむ”


 「疑問抱えて自衛隊を出すのか」「米国追随で禍根残すな」−。自民、公明など与党三党が四日にイラク特措法案の衆院通過を強行したことなどに、多くの地方紙が「社説」で疑問、批判の声を上げています。

初めに派遣ありき

 「イラクの将来へ向けた支援をどのように行うかという、本来あるべき議論は置き去りにされたままだ」。北海道新聞四日付はこう批判します。

 批判の対象になっているのは、イラクの復興支援とは名ばかりの政府・与党の“初めに自衛隊派兵ありき”の姿勢です。

 「衆院の審議では、政府の『初めに自衛隊派遣ありき』の姿勢と拙速さが浮き彫りになった。自衛隊がイラクで具体的にどんな任務を担うのかも明確にされていない。自衛隊派遣をめぐって法案が当初から抱えていた疑問は解消されるどころか、逆にますます膨らんだとさえいえる」(新潟日報四日付)

 「小泉純一郎首相の答弁から浮かび上がってきたのは『初めに自衛隊派遣ありき』という論理である。法案に対する多くの疑問点に説得力のある回答が示されたとは到底思えない」(南日本新聞五日付)

 西日本新聞五日付は「自衛隊のニーズも不明だ。政府が自衛隊の業務として示した水の浄化・配給や物資輸送は、(イラク)国民から要請があったという話は聞かない」と指摘。「小泉首相は『日本の主体的判断』を強調するが、米国の要請であることは明らかである」と強調しています。

違憲の武力行使に

 イラクに派兵された自衛隊が憲法違反の武力の行使に乗り出す、現実的な危険に懸念を表明しているのも特徴です。

 「占領下の治安状態は悪く、連日のように米兵への攻撃が繰り返され、『戦闘地域』と『非戦闘地域』の線引きが極めて困難であるのが現状だ」「従来の派遣に比べて自衛隊が戦闘に遭遇する確率ははるかに高く、その場合、占領下という特殊事情も加わって、憲法に抵触する危険性が出てくる」(高知新聞三日付)

 「いままでの自衛隊派遣に比べ、自衛隊が何らかの攻撃に遭遇したり、武力行使の問題にもつながりかねない事態に直面する可能性は高いことも考えられる」(福島民友新聞五日付)

 河北新報二日付も「自衛隊がイラクに乗り込んでも、米英軍に対する支援はいつ、残存勢力の攻撃対象になるかも分からない」「イラクでは、憲法で禁じる交戦権の行使につながりかねない状況が続いている」と指摘しています。

参院で徹底審議を

 法案の重大性を指摘し、参院での徹底審議を求めているのも共通しています。

 北海道新聞四日付は「(法案は)戦後日本の『平和国家』としての外交・防衛の枠組みを取り払うことに等しく、半世紀以上の歴史の積み重ねも簡単に『用済み』にされてしまうことになろう」と強調。「イラクの現実を直視し、日本の取るべき道についての真剣な議論を参院には望みたい」としています。

 信濃毎日新聞三日付は「法案は日本の外交・安全保障政策を大きく変える法律である。数の力で採決を急いでは禍根を残す」と強調しています。


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