日本共産党

2003年7月4日(金)「しんぶん赤旗」

伊首相に謝罪要求

独首相“ナチスへの例え 容認できない”


 【ベルリン3日片岡正明】ドイツのシュレーダー首相は三日、イタリアのベルルスコーニ首相が欧州連合(EU)議長として欧州議会で所信表明し、その後の発言で、独社民党議員をナチスの強制収容所の所長になぞらえたことに対し、「内容も形式も逸脱したもので到底容認できない」と厳しく批判し、公式の謝罪を要求しました。

 ドイツ国内ではナチスへの例えは最大の侮辱で、マスコミでもベルルスコーニ批判がいっせいに噴き出しています。

 シュレーダー首相は連邦議会(下院)での演説で「ベルルスコーニ首相はドイツの欧州議会議員をナチスに例えたことを正しいと思っているのか」と怒りを表明し、「同首相が謝罪するのを待つ」と述べました。また、ティールゼ連邦議会議長は三日朝のテレビ番組で「民主的な政治家なら他の民主的政治家をナチスに例えることなど許されようがない」と述べ、ベルルスコーニ氏の非民主的な姿勢を非難しました。

 三日付のハンブルガー・アーベントブラット紙は「ベルルスコーニ氏の発言はあらゆる心配を上回った」「自らの刑事訴追を免責特権で逃げたベルルスコーニ氏はEUの憂うつな看板となるのか」とEU議長就任に深刻な懸念を表明。フランクフルター・ルントシャウ紙は「ベルルスコーニ氏は欧州議会へのコントロールを失った」と論評しました。南ドイツ新聞は「首相への欧州あげての批判にイタリア人はショックを受けている」と指摘しています。

 ベルルスコーニ氏に対しては二日の欧州議会でも「法はすべての者に平等だ」「ゴットファーザーはいらない」と緑の党会派の議員が横断幕を広げて抗議しました。


欧州各紙が一斉に非難

 【パリ3日浅田信幸】欧州議会でのベルルスコーニ伊首相の侮辱的発言が欧州マスコミに衝撃を与え、怒りの声を巻き起こしています。三日付の各国紙は大きく首相の発言をとりあげて報じました。

 共通して読み取れるのは、ベルルスコーニ首相の政治家としての資質に重大な疑問を呈していることです。

●イタリア紙

 イタリアのコリエレ・デラ・セラ紙は「恐れていたことが起こった」とのべ、首相発言を「自殺行為だ」と断定しています。レプブリカ紙は「ベルルスコーニの誤りと性格ゆえに不当かつ、けた外れの代価を支払うことになるわが国にとって悲劇的な結果だ」と指摘しました。

●フランス紙

 フランスのフィガロ紙は「けんか腰の振る舞いで、ベルルスコーニのデビューは、敵にも最悪の事態を予測した者にも理があったことを示した」と書きました。

●イギリス紙

 イギリスのフィナンシャル・タイムズ紙は「困難な時期を通じて欧州を指導する伊首相の的確性に新たな疑問が浮上している」と指摘。タイムズ紙も「欧州連合(EU)は、ベルルスコーニの侮辱的発言のあと、何カ月もマヒする恐れがある」としています。

●スペイン紙

 またスペインのカタルーニャ地方紙ラバンガルディアは「ベルルスコーニは批判を受けることへの恐るべき無能力と、担うべき制度的役割についての不明瞭な考え方を示した」とのべました。


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