2003年7月1日(火)「しんぶん赤旗」
視覚障害者のための事故防止対策に不備があったとして、大阪市営地下鉄御堂筋線の天王寺駅ホームから転落して重傷を負った視覚障害者の佐木理人さん(29)=同市東住吉区=が大阪市を相手に、約四千八百万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審は三十日、大阪市が大阪高裁(吉原耕平裁判長)の勧告に応じ、七月中にも転落防止さくを設置することや三百万円を支払うことなどを条件に和解が成立しました。
先天性の視覚障害者の佐木さんは一九九五年十月、天王寺駅で下車した後、点字ブロックを頼りに歩いていました。しかし、ホーム端でブロックが途切れたため線路脇に転落、そのまま電車に引きずられ、左腕や足を骨折するなどの重傷を負いました。一審・大阪地裁判決は二○○一年十月、「ホームの安全設備の設置方法などが安全性を欠いていたとは言えない」として、佐木さんの請求を棄却しました。
佐木さん側は記者会見で「視覚障害者にとって、安全な交通施設を実現するための画期的な和解だ。交通弱者に対して安全で利用しやすい施設を造ってほしい」と評価しました。
大阪市交通局の話 本件訴訟の早期解決を図るため和解に応じた。今後とも地下鉄を安全、快適に利用できるように努力していく。