日本共産党

2003年6月30日(月)「しんぶん赤旗」

南米全体の市場統合へ

アンデス共同体と南部共同市場

米主導の貿易構想批判


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 【メキシコ市28日菅原啓】南米北部五カ国が加盟するアンデス共同体は二十八日、コロンビア中部リオネグロ郊外で開催中の第十四回首脳会議で、ブラジルなどを中心とした南部共同市場(メルコスル)と自由貿易協定を結ぶ方針を決定しました。

 一九六九年に創設されたアンデス共同体には、コロンビア、ボリビア、エクアドル、ベネズエラ、ペルーが加盟。加盟国の経済・社会統合、貿易の自由化を進めてきました。

 一方、メルコスルは一九九五年に設立された関税同盟で、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイが加盟しています(チリとボリビアが準加盟国)。十八日にパラグアイで開催された首脳会議では、米国主導で二〇〇五年発効を前提として進められている米州自由貿易地域(FTAA)交渉においてより強固な立場で臨むため、アンデス共同体との共同を強める方向を確認していました。

 今回のアンデス共同体首脳会議には、メルコスルから来賓としてブラジルのルラ大統領が出席。南米統合の必要性を訴えました。二十八日調印された首脳会議の声明は、「遅くとも二〇〇三年十二月三十一日までにアンデス共同体・メルコスルの自由貿易協定を締結する」ため、具体的な作業計画や日程表を作成すると述べています。

 アンデス共同体の加盟国の中には、米国との個別の自由貿易協定を優先するコロンビアと、メルコスルとの共同を志向するベネズエラなどとの対立があり、米国の外交攻勢が強まるもとで共同体の継続を危ぶむ声も上がっていました。

 声明には、加盟各国が個別に貿易交渉を進めることを尊重する内容も盛り込まれ、この結果、全体としてメルコスルとの共同、南米全体の市場統合の方向で一致が図られたと報じられています。

 ベネズエラのチャベス大統領は会議閉幕後の記者会見で、FTAAが南北米大陸各国の経済的社会的相違を考慮せずに、新自由主義と自由貿易を強化するものだと指摘し、米国主導の貿易構想を批判。アンデス共同体の決定については、「南米の現実的、具体的統合にむけ、より明確で断固とした決意をもった新しい流れ、新しいリーダーシップ」だと高く評価しました。


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