日本共産党

2003年6月26日(木)「しんぶん赤旗」

イラク特措法案 赤嶺議員が追及

医療、電気…人道支援こそ

「戦闘」「非戦闘」の区分け不可能


 日本共産党の赤嶺政賢議員は二十五日の衆院イラク特別委員会で、イラク現地調査を踏まえ、自衛隊が活動を行うとされる「非戦闘地域」の設定は不可能であること、そしてイラクに必要なのは自衛隊でなく、日本の非軍事分野の人道・復興支援であることを訴えました。

支援テーマを具体的に列挙

 「政府・民間の人道復興支援の分野がまだまだたくさんある。自衛隊派遣でなく、まずその分野を議論すべきだ」

 赤嶺氏はみずからのイラク視察から、イラクへの支援テーマを具体的に挙げました。

 医療技術支援 経済制裁で医師の技術低下が深刻。日本の医療技術指導が求められている。

 水道、電気、下水の復旧 夏場になれば気温が五〇度になり、伝染病が拡大するおそれがある。復旧は緊急課題。

 穀物 農業地帯では害虫被害に苦しんでいる。亜熱帯の農業は害虫とのたたかい。沖縄の農業技術が生かせる。

 地雷撤去 日本のNGO(非政府組織)の技術は高く、需要が大きい…

 さらに赤嶺氏は、イラクに軍隊を派遣していないドイツやフランスが、産業再生など国家再建につながる支援活動を検討していることを挙げ、「日本の国力で、当面の人道・復興支援だけでなく国づくりの支援もできる。こういう方向の支援こそ本当に必要だ」と指摘。現行法でこれまで以上の支援はたくさんできると強調しました。

非戦闘地域はないと米軍も

 赤嶺氏は、「こういう分野の議論を排除したまま、自衛隊派遣だけが問題になっている」と強調し、「その自衛隊はどのようなところに行くのか」と問いかけました。

 「私が滞在中、米兵が『仕事よこせ』のデモ隊に発砲し、二人死んだ。その数時間後、米兵二人がガソリンスタンドで射殺された。夜は銃声が絶えず、連日のように米兵、イラク人が殺害されている」…。赤嶺氏が体験したイラクの治安状況です。赤嶺氏はいいます。「イラクで米軍に対する敵意が広がっており、そういうところに自衛隊を派遣しようとしている」

 さらにイラク全土で米英軍の死者が発生していることを地図で示し、「戦闘地域・非戦闘地域の区分けは不可能だ」と指摘しました。

 それでも小泉首相は、「自衛隊の支援活動は非戦闘地域で行う」「みずから収集した情報や他国からの情報を総合し、非戦闘地域を設定する」と繰り返しました。

 これに対して赤嶺氏は「情報提供先はどこなのか」と追及。石破茂防衛庁長官は「主要な国は米軍」とのべました。

 では、「もっとも正確な情報を持つ」といわれる米軍はイラクの現状について、どのような認識を持っているのか。赤嶺氏は、米軍のマキャナン現地司令官も「イラク全土が戦闘地域」であり、非戦闘地域は存在しないとの認識を持っていると指摘しました。

 政府は十三日に公表した非公式調査報告で、イラクの治安状況について「バグダッド以南などの地域・治安状況は改善」されているとのべています。しかし赤嶺氏は、二十四日には南部地域で英兵六人が殺害されたことを挙げました。

 また、赤嶺氏がイラク滞在中に南部地域の視察を行おうとしたところ、現地の案内人から「何が起こるか分からない」と断られたとのべ、政府調査の根拠のなさを批判しました。

 赤嶺氏は、「自衛隊はPKO(国連平和維持活動)以上の重武装で行こうとしている。イラク国民を殺害するかもしれないし、殺されるかもしれない。こういう危険な場所で武力行使を行うことは憲法違反だ」と訴え、法案の廃案を求めました。


もどる
「戻る」ボタンが機能しない場合は、ブラウザの機能をご使用ください。

日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp