日本共産党

2003年6月25日(水)「しんぶん赤旗」

イラク派兵法反対緊急院内集会

緒方国際局長の報告(要旨)


 二十四日に開かれた「イラク派兵法に異議あり! 市民と国会議員の緊急院内集会」で、イラク問題日本共産党調査団の団長を務めた緒方靖夫国際局長(参院議員)のイラク調査報告(要旨)は次の通りです。

 十三日から二十一日までの訪問でしたが、イラクに入ったのは、十五日から十九日までの三日強で、入るまでが長い旅でした。米軍がイラクに対して掃討作戦をしている地域をコンボイ(車列)を組んで移動するなど危険を伴う旅でした。現地では国連開発計画(UNDP)、世界食糧計画(WFP)、ユニセフ(国連児童基金)、国際赤十字の国際機関をはじめ、NGO団体、米英占領軍当局、フランス、ドイツなど現地代理大使と会いました。また、南東部二百キロのクート、西部に百キロのヒッラという街も訪問しました。

 国連関係者は、「いまイラクの人たちの心の再建が必要だ」といっていました。フセイン礼賛の教育を受けてきた国民の大半は、フセイン政権打倒でそれまでの価値観が否定される。自分たちの国が占領されている違和感、不満が非常に大きくなっています。

 フセイン時代にあった国民と政権との遊離は、いま占領軍との間の大きな距離になっています。国民の不満が高まり、それを利用して一部勢力が米軍への攻撃を強める。それに米軍が掃討作戦をやる。それに対するイラク国民の抵抗が強まる。その悪循環がどんどん拡大していく気配です。イラク国民、国連、支援団体が一番にあげる問題は治安です。国連の機関も「危なくて支援が行き届かない」と述べていました。停電はしょっちゅうで、停電になるだけで治安が危ない状況です。

 イラクに対する経済制裁措置が解除されたことで、制裁下で長い間機能してきたイラク国民への食糧支援が十月で終わります。イラクでは国民の六割がその支援を受けています。それが途絶えたときどうなるか。国連も国民も共通して心配しています。

 占領軍当局と話して明確になったのは、戦争にいかに勝つかを計画的・ち密に立てたが、戦争後占領してイラクをどう統治すればいいのか、まともな計画がないことでした。アメリカがイラクの子どもたちの教科書をつくることまでまかり通ろうとしています。「こんなことをやったら内乱がおこる」と国連の代表は怒りをぶちまけていました。アメリカの「民主化」が何を意味するかをみてとれる状況でした。

 占領軍当局は「イラク全土が軍事作戦の対象だ」と明言し、支援物資を届けている国際赤十字関係者は「危険なところ、安全なところが刻々と変わるのが特徴だ。イラクに安全なところはない」といっていました。ここに自衛隊を派遣したらどうなるか明白です。憎悪の的になっている米軍支援のためですから。

 ある大使館の人は「日本はイラクではこれまでいい評価をとってきた」といいながら、「自衛隊が派遣されたら、それが総崩れになる」といっていました。そして「自衛隊派遣は国連やNGOの支援のじゃまになる。やめてほしい」と述べていました。

 国連中心の支援はNGOを通して直接国民におこなわれるので、国民との間に垣根をつくらないのです。そしてイラク人には能力、人的資源が十分にあり、その組織化の支援をするだけで十分にやっていける力があるので、「背中をひと押ししてあげる支援」が重要という言葉は印象に残りました。

 イラクの現実と人々の心情に合致した支援を大きくしていくことこそ肝心です。イラクへの自衛隊派遣は不必要なばかりか、有害だと確信しました。


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