日本共産党

2003年6月18日(水)「しんぶん赤旗」

WTOのミニマムアクセスの「大分類」とは?


 〈問い〉 日本のコメの輸入受け入れも「穀物」などの大分類で扱えば、削減・廃止も可能とききましたが、本当ですか。(東京・一読者)

 〈答え〉 日本は一九九四年に世界貿易機関(WTO)の農業協定(ウルグアイ・ラウンド農業合意)を批准し、コメの最低輸入機会(ミニマムアクセス)提供義務を受け入れました。最低輸入機会は毎年拡大され、二〇〇〇年には七十六万七千トンに達しました。

 しかし、ミニマムアクセスは「コメ」といった分類のほか、ムギやトウモロコシなども含む「穀物」のような広い分類も考えられます。たとえば畜産が農家経営の中で重要な位置を占める欧州連合(EU)は「食肉」という大分類で最低輸入機会を設けています。この分類はEUが交渉で認めさせたもので、食肉のうちEU内で影響の大きい豚肉の輸入は抑え、影響の少ない羊肉輸入で対応しています。

 これは協定上、品目の単位の統一ルールはなく、各国間の交渉に委ねられているからです。日本も「穀物」などの大分類でくくれば、トウモロコシなどは飼料用も含め大量輸入しており、わざわざコメを輸入する必要もないはずです。政府も日本共産党・松本善明衆院議員の質問に、最低輸入機会を「穀物」などで交渉することは「理論上といいますか、それは可能でございます」と認めています。(昨年九月二十四日、衆院農水委)

 しかし政府は「穀物」分類を要求すること自体も拒否しています。コメ、ムギなど品目ごとの合意を、抜本的に変更する交渉となることなどが理由です。外交交渉には困難もありますが粘り強く交渉したEUと比べ、要求さえしない日本政府の姿勢は弱々しいものです。

 ウルグアイ合意の実施期間は二〇〇〇年で終わり、次期の農業交渉は長期化しています。アメリカなどの食料大企業の利益を優先した協定の矛盾の現れです。協定の枠内でもできる大分類の提起など、国内農業を守る姿勢を鮮明にすべき重要な時期といえます。

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〔2003・6・18(水)〕


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