日本共産党

2003年6月18日(水)「しんぶん赤旗」

消費税 10%でも12兆円増税

すべてのツケを国民に

政府税調中期答申


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 政府税制調査会(首相の諮問機関)が将来の税制を示す「中期答申」(ほぼ三年ごとにとりまとめ)を小泉純一郎首相に提出しました。高齢社会と税金を主題にしたその内容は、社会保障の質は落として保険料と税負担は増やす、大増税メニューです。国民をいじめるばかりの税制では景気がさらに悪化して財政「再建」どころではありません。(石井光次郎記者)

くらしも景気も財政も破壊

社会保障財源確保というが

「広く公平に」

 政府税調答申の表向きの主題は「少子・高齢社会における税制のあり方」です。二十一世紀にふさわしい姿に税制を「再構築していく」といっています。その中身は「高齢化の進展に伴う年金・医療・介護給付の増大も見込まれ、国民の負担増は避けられない」。増税先にありきです。

 答申の増税メニューは「課税ベース」を広げることが基本です。不景気で収入が減ったり、失業者が増えれば、税金を払う人が減り、税収が減ります。その上、自民党政治が進めた法人税率引き下げや所得税の最高税率引き下げでますます税収は減りました。

 大企業・大金持ち優遇の税制改悪と不景気で減った分を所得の少ない人からもっと取って埋め合わせようというのが「課税ベース」の拡大の意味です。税調の言葉では、「広く公平に」税を取るともいいます。

 この考え方に一番都合のよい税金が消費税です。失業中で所得のない人でも買い物をすれば無条件に税金をとられます。税率を1%あげるだけで、国民の税負担は二・四兆円も増えます(二〇〇一年度決算ベース)。四月から本人三割負担になった医療費の負担増は二兆円足らずですから、消費税の「財源調達力」の大きさがわかります。

家計へ打撃深刻

 1%でも大変な増税なのに、答申が出した将来の消費税率は二ケタです。これまでも中期答申は消費税を「基幹税」にするとして、税率引き上げの必要性をいってきました。しかし、二ケタへの引き上げを具体的に記したのは今度が初めてです。

 二ケタといえば、一番控えめな10%でも新たに十二兆円の増税となり二十四兆円。六年前に3%から5%に引き上げただけで食料品や被服費を節約する主婦が増えるなど家計への打撃は深刻でした。景気は急激に悪化し、その傷あとは今も消えません。

 答申は「国民の理解を得て」などといっています。二ケタ税率を「理解」できる国民などどこにいるのでしょうか。

 「社会保障支出の増大との関係を明確に説明する必要」があるともいっています。消費税が社会保障の財源として使われているかのようなごまかしをもっと強めろということです。消費税の税収が増えたからといって、社会保障制度がよくなる保証は何もありません。

 もともと消費税は、所得が少ない人ほど負担が重く、逆進性の強い福祉破壊税です。そんな税金の増税で社会保障をまかなおうというのは見当違いもいいところです。

 5%に税率があがったときにも「福祉目的税」などの議論がありました。その後の経過は、社会保障制度はよくなるどころか当時の厚生大臣だった小泉純一郎現首相の医療改悪をはじめ、いまにいたるまで改悪続きなのが現実です。

増税は07年?

 「私の在任中は上げない」というのが小泉首相の口ぐせです。

 古くは中曽根康弘元首相から、竹下登故首相、橋本龍太郎元首相まで、消費税にかかわった三人の首相が退陣に追い込まれています。

 その一方で、小泉首相は税率引き上げの議論は「大いにしてほしい」と政府税調にハッパをかけてきました。塩川財務大臣が、小泉首相がもう一期自民党総裁をやって、その任期切れの二〇〇七年度から税率アップだ、と小泉首相の言葉を謎解きして話題になりました。二〇〇七年度というのは財界が要求する10%の実施時期とも一致しています。

 政府税調の石弘光会長は「塩川財務相は自縄自縛になっている首相に代わって発言した。きわめて論理的」と財務相の説明を全面的に歓迎しています。

 国民が頼りにする社会保障は改悪、天下の悪税、消費税は大幅アップでは、日本経済は底無しの不況に転落してしまいます。間近に迫った衆院、参院の国政選挙で増税勢力にノーを突きつけ、消費税率アップの芽をつむことが景気回復と財政再建への道を開く何よりの保障です。


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