2003年6月17日(火)「しんぶん赤旗」
大阪・八尾市でのヤミ金の過酷な取り立てが原因とみられる三人心中事件について「起こるべくして起きた」という声が上がっています。
全国クレジット・サラ金対策協議会事務局長の木村達也弁護士は「構造的な問題が事件の水面下では起きている」と指摘します。
借金地獄におちいる場合、多くのケースは、誰もが手軽に借りられるサラ金に手を出しています。しかし、サラ金の金利はいずれも利息制限法を無視した違法な高金利で、その支払いのために次々と借りるサラ金業者が増えて、雪だるま式に借金がふくらみます。こうしてサラ金から借りつくすのをみこして、ヤミ金融業者がダイレクトメールなどで新たな借金へと誘いこみます。
清掃作業員の男性(61)の妻(69)も今年一月ごろには月々二十万円ものサラ金への支払いに追われていたといいます。年金などの収入を大きく上回る返済額でした。周辺に「自己破産しかない」と漏らしていました。
四月初旬には八尾署に「ヤミ金に脅かされている」と相談に行っています。サラ金から多重債務へ、そしてついにはヤミ金まで借りる―。ヤミ金が貸し付けのターゲットにしているのは、資金繰りに困った中小零細業者や返済困難に至った多重債務者です。
木村弁護士は「サラ金業界には裏と表があって、大手サラ金で借りて支払い不能になった顧客情報リストがヤミ金に流れている」といいます。
「今後も起こり得ることです。中には脅迫罪、監禁罪などの犯罪行為をしており、放置しないで警察は早く、ヤミ金を厳しく取り締まることです」と木村弁護士は強調し、「根本には諸外国に比較しても異常な高金利を許していることが問題で、利息制限法の制限金利を引き下げる必要があります」と話しています。