日本共産党

2003年6月8日(日)「しんぶん赤旗」

イラク大量破壊兵器

英政府は国民欺いた

“証拠論文”盗用された著者告発


 【ロンドンで西尾正哉】英情報機関に学術論文を無断でコピーされた研究者が“ブレア政権はイラクの兵器能力を誇張する操作をおこない国民をあざむいた”と新聞投稿で告発しました。

 この研究者は、米西海岸カリフォルニア州の「不拡散研究センター」のイブラヒム・アルマラシ氏。

 米国のパウエル国務長官は、二月五日の国連安保理で、この英情報機関の文書を紹介し「イラクの欺まんをきわめて詳細に描いている」と賛美しました。

 しかし、同文書は、中東研究雑誌(二〇〇二年秋)に発表したアルマラシ氏の論文を、つづりや文法の誤りまで含めて借用したもので、英情報機関のお粗末ぶりが明らかとなっています。

 アルマラシ氏は、デーリー・テレグラフ紙五日付への投稿で、情報機関の文書の著者は「数字を膨らまし、イラクの兵器能力を誇張することによって一般公開の論文を盗作し操作を加えた」と批判。その一例として、同氏が論文で、イラクの情報機関の責任は「敵対国の反体制組織を援助する」ことと書いたのに対し、英情報機関はこの部分を借用しながら「敵対体制のなかでテロリストのグループを支援する」ことと書き換えたとしています。

 同氏は「このように書き換えることで、イラクにはアルカイダのような組織を支援する基盤があると読者に確信させ」ようとしたと指摘しています。

 またブレア首相が英情報文書を引用し「イラクは四十五分以内に生物・化学兵器を配備・使用することが可能だ」と述べた点についても、「このような数字を公にすることは英政府に適切な研究機関がないことを示すだけだ。プロフェッショナルな分析家はこのような数字は明らかにしない」と指摘しています。


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