日本共産党

2003年6月8日(日)「しんぶん赤旗」

日韓首脳会談

過去の清算、有事法制

アジアの「懸念や批判」に
答えるのは日本政府の責務


 小泉純一郎首相は七日の日韓首脳会談後の共同会見の冒頭、「韓国国内にこの訪問に対する懸念や批判があることも承知しているが、大統領は勇気ある決断をされて訪問された」とのべました。しかし「懸念や批判」の原因をつくった側が大統領の“勇気”をたたえるというのは、おかしな話です。

日本側に問題が

 盧武鉉大統領の来日直前の五月三十一日には、自民党・麻生太郎政調会長の「創氏改名」発言があり、到着当日の六日には、有事三法案が成立。小泉首相自身の靖国神社参拝問題のくすぶりとあわせ、いずれも日本側に責任のある問題ばかりです。

 一九九八年十月の日韓パートナーシップ宣言で、日本側が「過去の一時期韓国国民に対し植民地支配により多大の損害と苦痛を与えた」ことに「痛切な反省と心からのおわび」を表明したにもかかわらず、いまなお過去の問題への無反省や、日本の軍国化への懸念が韓国側から指摘されるところに、日本政府なかんずく小泉首相の責任が問われます。

 過去の問題は、盧大統領が共同会見で、新しい日韓関係の発展のため「言及しないつもりだった」とのべたように、会談で取り上げられていません。それでも盧大統領は会見で一般論と断ったうえで、「過去の問題は…両国の指導者と国民が同じ未来を展望する原則において、絶えず相互に努力することが必要だ」と強調しました。

 日本政府の立場とも相いれない「創氏改名」発言は、本来なら韓国側が取り上げなくても、小泉首相が自ら説明し、謝罪すべきものです。未来志向の日韓関係構築という観点から、盧大統領があえて会談で取り上げなかったのをいいことに、こうした問題をあいまいにやり過ごすのでは、盧大統領の願いを無にすることになるでしょう。

 有事法制については、小泉首相が会談で「外からの侵略に備えるもの。自衛隊が海外で侵略を行うことはない」と説明。これに対し、盧大統領は「日本の防衛政策の変化に周辺国家・国民が警戒心を持っていることも否定できない事実だ」と応じました。

アジア諸国にも

 日本政府は、川口順子外相が「有事法制についてアジア諸国には政府レベルの反応はない」と国会で答弁していましたが、盧大統領は明確に懸念を表明したのです。

 このことにも示されたように、自衛隊が米国の戦争に武力行使をもって参加することの懸念はアジア諸国に大きく広がっていることはまちがいありません。そして、そうした懸念は、日本政府の過去への無反省と結びついたものであり、単に法律を説明すれば払しょくできるというものではないことも明らかです。

(山崎伸治記者)


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