2003年6月5日(木)「しんぶん赤旗」
第二十八回全国公害被害者総行動デーが四日とりくまれ、「最大の環境破壊の戦争反対」「なくせ公害 まもろう地球環境」などをスローガンに、病をおして全国から結集した公害病患者や遺族、無駄な公共事業にストップをかける住民ら約千人が、東京・霞が関の官庁街をデモ行進しました。
この日の鈴木俊一環境相との交渉では、公害病未認定患者の大気汚染被害を認めた東京大気汚染訴訟判決や、農水省に上告断念させた原告勝訴の川辺川利水訴訟などを力に、公害対策や被害者の救済を求めました。
東京大気汚染裁判原告団の石川牧子さん(47)=小平市=は「ぜんそくの発作が起きると、針の穴ほどのすきまから呼吸する苦しさで全身から冷たい汗が噴出し、指一本動かすことができなくなる。そして、未認定のため高額な医療費が追い打ちをかける。私たちを救う救済制度を早急につくってほしい」と声を詰まらせました。鈴木環境相は「つらい立場、思いをしっかりと受け止める。公害対策は、環境行政の原点である。公害による健康被害を二度とくりかえしてはいけない」と表明しました。
経団連会館では、奥田碩日本経済団体連合会会長あてに要請書を提出しました。
要請書は、経団連が利潤追求のみを優先させることなく、環境に配慮した事業活動に組織をあげて取り組むことを強調。「すべての公害被害者の完全救済と健康回復をはかること。公害被害者の補償等に関する法律にもとづく加害企業の責任を果たすこと」など十三項目を要求しました。
経団連側は、東京大気汚染公害裁判について「早期解決を図られるよう自動車工業会などを通じて各企業に伝えます」などと応対しました。総決起集会も 夜には日比谷公会堂で総決起集会を開き千二百人が集い、日本共産党の岩佐恵美参院議員が連帯のあいさつをしました。
壇上では、五月に逆転勝利判決が出た川辺川利水訴訟原告団をはじめ、大気汚染、食品・薬害、新幹線・基地騒音被害など各地のたたかいが紹介され、会場の支援者、弁護団が「青空」の象徴、水色の布を振って連帯の意思を示しました。
アピールは、参院で審議されている有事三法案の廃案を求め、弁護士報酬敗訴者負担制度の導入にも断固とした反対を表明しています。
新横田基地訴訟団幹事の清水幸一さん(51)は「有事法制が成立すれば騒音被害の証拠として基地ビデオ監視も規制されるのでは」と話しました。