2003年5月28日(水)「しんぶん赤旗」
雪印乳業集団食中毒事件の判決は、「食の安全」に対する信頼を揺るがした食品メーカー側の責任を断罪するものとなりました。同時に、雪印食中毒事件後も牛肉偽装など、食品の安全性をめぐる事件が相次いだように食品安全行政の不備が問われています。
食の安全を確保するためには行政による指導、監視、規制、表示などの公的システムの確立が必要です。ところが、九七年四月からの地域保健法の全面施行にともない、食品の安全確保を担う保健所の統廃合が年々進められています。
九三年度には全国八百四十八カ所あった保健所は、〇三年度には五百七十六カ所に、実に三割以上も減らされました。
このため、現場で営業施設を監視、指導する保健所の専任の食品衛生監視員も減らされました。一人あたりの営業施設数は五百八十七施設(九八年度)にのぼり、手がまわらない事態はいぜんとして続いています。
雪印大阪工場のある大阪市では、〇〇年四月から各区の保健所が廃止され、監視職員十二人減となりました。こうしたなか、食品衛生法では、年十二回となっている同工場への監視の達成率は30%程度で、乳製品の製造ラインは本来、毎日洗浄しなければならないのに、三週間も洗浄していなかったことが明らかになっています。事件の背景にはこうした行政側の無責任な姿勢がありました。
保健所を増やし、地域に密着した配置にするなど、厚生労働行政が問われています。(藤沢忠明記者)