日本共産党

2003年5月28日(水)「しんぶん赤旗」

東北の地震

未解明多い「プレート内発生」

「宮城沖」と別タイプ


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 二十六日夕に発生した宮城県気仙沼沖を震源とする地震は、震源の深さが七一キロメートルと深く、日本列島の下にもぐり込んでいる太平洋プレート内で発生したとみられています。プレート内で発生する地震についてはよくわかっていないことが多いといいます。

 東北地方の太平洋側では、太平洋プレートのもぐり込みにともない、地殻にひずみが蓄積され、地震が起きます。地震のタイプには、日本列島が乗っている陸側のプレートと太平洋プレートの境界で発生する地震と、プレート内で発生する地震とがあります。

 プレート境界の地震は、比較的短い周期で起きる特徴があります。今回の震源の近くを震源域として一九七八年六月十二日に起きた宮城県沖地震(M=マグニチュード7・4)はプレート境界の地震で、死者二十八人を出すなどの被害を出しています。この震源域の地震は、過去約二百年間に二十六年から四十二年の間隔をおいて、平均間隔三十七年で発生しています。

 このため、政府の地震調査委員会は、二〇〇一年一月一日時点の評価として、二〇一〇年までの発生確率を約30%、二〇年までの確立を約80%、三〇年までの発生確率を90%以上と推定しています。今回発生した地震は、宮城県沖地震のタイプとは異なることから、宮城県沖地震の発生が遠のいたことにはならないとみられています。

 一九七八年の宮城県沖地震の約四カ月前には、太平洋プレート内でM6・7の地震が起きていました。そのため、今回の地震が宮城県沖地震につながる可能性があるのかどうかが注目されています。

 東京大学地震研究所の土井恵治・助教授は「地下深くにもぐり込んでいるプレート内の地震についてはよくわかっていないことが多い。今回の地震が宮城県沖地震にどのように影響を及ぼすかは現時点で判断できない」と話しています。

プレート境界地震

その仕組みは

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 最近の地震研究の進展でプレート境界面の地震について次のようなことがわかってきました。

 東北大学は、東北六県と新潟県に地震計を多数設置し、年間一万五千個の地震を観測しています。この観測データの解析から同大学地震噴火予知観測センターの長谷川昭教授らは、釜石沖約十キロメートル、地下約四十五キロメートルでM4・8程度の地震がほぼ五年ごと発生していることをつきとめました。これらの地震の発生間隔から次の地震を予測、見事適中しています。釜石沖で繰り返し起こる地震が、プレートの境界で起きていることもわかりました。

 最近の地震理論によれば、プレート境界の地震は、二つのプレートに固着した部分がはがれて滑るときに発生すると考えられています。この固着部分(アスペリティという)がプレート境界に分散しているらしいこともわかってきました。

 この固着部分が大きいと、発生する地震も大きく、発生する地震間隔も長いと考えられています。釜石沖の地震は、比較的小さな固着部分が五年ほどではがれて起きたものとみられます。

 七八年の宮城県沖地震もプレート境界の比較的大きな固着部分がはがれて起きたもので、三十年以内にまた固着部分がはがれて次の宮城県沖地震が起きるものと考えられています。

水平地殻変動最大1.5センチ確認

宮城沖の震源周辺

 国土地理院は二十七日、宮城県沖で発生した地震の震源域周辺の地上の全地球測位システム(GPS)観測点を解析した結果、同日午前六時までに震源断層の運動を示す最大約一・五センチの水平地殻変動を確認したと発表しました。

 このデータから推定すると、同県気仙沼市東方約二十キロの海底地下に、水平方向、上下方向とも約二十キロで、東から西に向かってほぼ垂直に下がっている断層があり、地殻変動に伴って断層が動いた「滑り量」は約二・一メートルとみられています。


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