2003年5月17日(土)「しんぶん赤旗」
女性問題での県民のきびしい批判に追いつめられた木村守男青森県知事(65)は、県議会議長に辞職願を提出、県議会は臨時会最終日の十六日、木村知事の辞職に同意しました。五十日以内に知事選挙がおこなわれます。
一月の県知事選で三選を果たした木村守男青森県知事は、わずか三カ月余りで辞職に追い込まれました。
日本共産党の諏訪益一県議団長は「開発、イベント優先の木村県政への批判が、女性問題で沸騰し、追いつめられての辞職だ。県民の運動が、知事辞職の世論をつくる大きな役割を果たした」と語りました。
週刊誌が一月末、「セクハラ不倫」と報じた女性問題は、木村知事が生活の窮状を訴える手紙を書いてきた女性宅を公務で訪問したことをきっかけに、交際がはじまったという内容です。
しかし、木村知事は、県民にも県議会にも具体的な事実を説明することを拒否しつづけました。
日本共産党県議団は問題発覚直後の二月上旬、「事実なら知事は辞職を」と申し入れ、以降、他会派や女性団体などの申し入れが相次ぎ、広範な団体が署名や集会などの運動を展開しました。
木村県政は、県住宅供給公社の十四億円横領事件などの不祥事に加え、北海道と青森県を結ぶ「津軽海峡大橋」構想など、開発や大型イベント優先で県民生活を後回しにする県政でした。こうした木村県政への県民の批判は女性問題で一気に加速し、「知事辞職を」という県民の運動と怒りはさらに高まりました。
県民の運動は県議会をも動かし、当初「興味がない」といっていた与党の自民党をふくむ全会派が、二月県議会で女性問題の質問をせざるをえなくなり、青森県議会史上初めて知事辞職勧告決議案を可決。しかし、木村知事は辞職を拒否し、そのために提出された不信任決議案も、自民党の一部が反対に回り二票差で否決されました。
県民の怒りは、知事不信任案に反対し、木村県政を支える与党県議にも向かいました。
四月の県議選では、不信任案に反対した現職十三人のうち五人が落選し、他の候補も得票を軒並み減らすなど、県民は知事と一部与党議員に厳しい審判を下しました。
木村知事の辞職を受けてたたかわれる県知事選挙は、すべての県民に公正で清潔な県民本位の県政への転換が大きな争点となります。
(青森県 猪股文夫記者)