日本共産党

2003年5月11日(日)「しんぶん赤旗」

列島だより

教育基本法 なぜ改悪


 政府・自民党は、日本国憲法の精神に基づいて、教育の根本理念を定めた「教育基本法」を改悪しようとしています。全国各地で、教育基本法改悪に反対する運動が広がっています。


紙芝居で語る狙い

競争促し子ども苦しめる

島  根

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手作り紙芝居で教育基本法改悪の中身を学習する新婦人の人たち=3日、松江市

 戦争する国と人づくり…島 根 新日本婦人の会島根県本部(西尾幸子会長)は、教育基本法の内容と改悪の狙いを知ってもらおうと手作りの紙芝居をつくり、改悪反対の署名運動などに生かしています。

 紙芝居は、同会の子育て懇談会で出された「小学校低学年から勉強が分からない」「学校週五日制になって先生も子どもも忙しすぎて」などの声を紹介しながら、国が狙う基本法改悪が、子どもたちをいっそう過酷な競争に駆りたて、苦しめるものであることを分かりやすく説明しています。

 紙芝居の原案をつくった同県本部事務局長の舟木明美さん(41)は、二人の子どものお母さん。「子育て真っ最中の若い会員さんは、教育基本法を読んだことのない人たちがほとんど。そんな会員さんにも身近に感じ、考えてもらいたいと工夫しました」と話します。

 紙芝居を使った学習は始まったばかりですが、教育基本法を読んだことがなかった母親からも「変えることより、基本法を生かす教育を実現してほしい」などの感想が出されています。

 また、国や自治体に、少人数学級など教育条件の整備を求めてきた自分たちの運動が、教育基本法を生かす運動であることが分かり、多くの会員が感激しました。

 「紙芝居で学習したところでは、教育基本法を生かすことを求める署名の集まりがいいんです」。こう語る西尾会長(71)は「有事法制と基本法改悪は、憲法を改悪して日本を戦争できる国にする危険な流れにつながっています。戦前の軍国主義教育の過ちを経験した一人として、絶対に阻止したい」と訴えます。

 県本部では全支部・全班で紙芝居を上演し、署名や地方議会への陳情運動などにとりくむことにしています。

反対の意見広告に反響

若い人たちに賛同広がる

北海道
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「道民の会」結成総会でアピールを読み上げる青年たち=昨年2月、札幌市

 北海道では昨年二月、「子どもと教育・文化 道民の会」(略称・道民の会)が結成されました。道内の教育関係者、弁護士、文化人、芸術家、宗教者をはじめ多くの市民が参加し、個人会員も千人を超えています。

 教育基本法施行五十五年の記念日にあたる今年三月三十一日、商業新聞に全面を使って、教育基本法の改悪に反対する意見広告を掲載しました。

 意見広告には、当初の計画を上回る三千五百人が賛同し、「『道民の会』について詳しく知りたい」「教育基本法について話し合う会を開きたい」「二回目の意見広告はいつ出すのか」など大きな反響がありました。

 名前を寄せた人たちには、若い人も多く含まれていました。青年労働者が四日間の休暇をとって名簿の整理にとりくんでくれたり、ボランティアで事務局員になるなど、若い人の力がこのとりくみを支えました。

 馬場雅史事務局長は、「多くの人たちが『子どもが幸せになるための教育を』の願いや、そのために教育基本法が大事だという気持ちをもっていることがあらためて分かりました」と話します。

 道民の会では、昨年秋から、「改悪のたくらみをなくするその時まで」を合言葉に「教育基本法を読むつどい」を月に一度開いています。

 若い人たちを対象にホームページによる情報提供を充実させたり、会報を発行。五十万人を目標に反対する署名を集めています。

 馬場氏は「教育基本法と憲法は一体のもの。平和でこそ、子どもたちはすこやかに育ちます。有事立法などに反対する運動とも力を合わせ、多くの市民が発言し、行動する場として『道民の会』を広げていきたい」と語っています。

 (北海道 小野真実記者)


条件整備さぼり不当な支配すすめた歴代政府

改悪許さぬ草の根運動を

 政府・自民党は、中央教育審議会の答申を受け、現行法を「新しい時代にふさわしい教育基本法」(同答申)に見直し、今国会に「改正案」を提出しようとしています。

 教育基本法は、戦前の軍国主義教育の厳しい反省から、日本国憲法の精神に沿って教育の目的(第一条)に「人格の完成」をおき、「平和的な国家及び社会の形成者」の育成をかかげました。国などの教育行政は、教育基本法の理念を実現するために必要な「諸条件の整備確立」に専念し、教育内容に介入することを「不当な支配」(第十条)だとして禁じました。

 中教審答申は、教育基本法を改定して、「国を愛する心」の育成を加えることや、国による「教育振興基本計画」策定に関する規定を盛り込むことなどを求めました。

 教育研究者や教育関係者からは、「『国を愛する心』を教育の目的にすることは、国民の内心の自由を侵害するおそれがある」「『教育振興基本計画』の中身は教育内容にも及んでおり、『不当な支配』を強めることにつながる」といった批判があります。

 中教審答申は、教育基本法を見直す理由に、不登校やいじめ、勉強嫌いの増加など教育の危機打開をあげています。

 しかし、今日の教育の危機を招いた大きな責任は、教育基本法の不備にあるのではなく、同法の精神をふみにじってきた自民党政治にあります。

 歴代の政府・自民党は、三十人以下学級や老朽校舎解消など教育条件の整備には責任をはたさず、過酷な競争と差別・選別の教育を推進し、教育内容を細かく定めた学習指導要領や「日の丸」「君が代」の強制など教育への「不当な支配」に熱中してきました。

 地方議会の意見書も「国民は教育の荒廃に心を痛めている。しかし、その根源を戦後の教育基本法体系に求めるのは何の根拠もない」(北海道釧路市議会)、「今必要なのは、教育基本法の改定ではなく、教育基本法の掲げる人間性に基本を置いた理念の実現である」(高知県須崎市議会)と指摘しています。

 政府・自民党が教育基本法の精神をゆがめるような見直しを狙っているいま、「教育基本法を守れ」の世論を大きくひろげる草の根運動が急がれます。

 (地方部 村崎直人記者)



わが街 ふるさと

小動物園もあるベッドタウン

埼玉・上尾市
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 埼玉県上尾市は首都東京から三十五キロの距離にあり、県南東部に位置しています。地理的条件と高度経済成長が加わって、一九七〇年代に都市基盤整備公団の団地などが誘致されて人口が急増し、現在二十一万八千人のベッドタウンです。

 毎年七月に平方の上宿地区で、豊年満作と悪疫退散を祈願して行われる「どろいんきょ」は、県指定無形文化財として有名なまつりです。

 二〇〇一年には「上尾市がさいたま市と合併することの可否を問う住民投票」が実施され、合併はしないことを選択し、注目されました。

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多くの市民が訪れる丸山公園

 革新市政時代の七八年に、市制二十周年記念事業として丸山公園が開園しました。二七・五fの広大な場所に、児童遊園地、アスレチック広場、天文台、小動物園など多彩な施設を兼ね備え、市外からも多くの人々が訪れています。

 春は桜、ツツジ、初夏はアジサイ、ハナショウブ、秋は紅葉と四季の変化を感じることができます。地元の小学校は写生会で利用したり、特養ホームに入所されている方がスタッフと散歩したり、若いカップルや子ども連れの家族もたくさん見かけます。

 丸山公園の開園をきっかけに、「動物の飼育が禁止されている団地に住む子どもたちのために小動物園を」との要望が広がり、日本共産党は団地住民を中心にアンケートや署名に取り組み、議会でも取り上げ、八七年に実現。今では、ワオキツネザル、ミーアキャット、アライグマなどのかわいい動物たちが住んでいます。

 上尾市は七〇年以降宅地開発が進み、緑が失われてきました。そこで日本共産党が市税の1%を緑の保全のために積み立てる「みどりの基金」制度を提案し、設置されました。

 しかしここ数年、1%が守られていません。日本共産党は緑の消失を防ぐためにこの1%を守り、緑豊かな環境を守ることを主張しています。

 (糟谷珠紀市議)


国立大法人化ノー

福  島

 国立福島大学教職員組合は九日、国立大学法人化に反対する声明を発表しました。「法人化がもたらす大学の空洞化が地域に暮らす人びとや学生に及ぼす悪影響は深刻」だとして、市民にともに反対の声をあげてほしいと訴えています。

サギ草発芽に成功

愛  知

 名古屋市在住の猿渡楢秀さんは東谷山(守山区)の湿地に生えていたサギ草(絶滅危ぐ種)を「絶滅させてはならない」との思いから二十八年間栽培を続け、今年春に二万二千株の発芽に成功しました。

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砂浜に「NO WAR」

神奈川

 神奈川県の日本共産党鎌倉市後援会は四日、鎌倉・材木座海岸で地引き網を行い、子どもも含め百六十人が参加。有事法制反対の意思表示をと、砂浜に「NO WAR」の人文字をつくり、飛行機に乗る予定があった児島晃市議の息子さんの協力で空から撮影しました。(写真)

県立高で少人数制

埼  玉

 埼玉県教育局は八日、一部の県立高校で少人数学級編成を認める制度を、来年度から全学年で実施すると発表しました。一、二年生で実施していた制度を全学年へ拡大するもの。しかし、教職員の増員はされず、教育現場からは改善を求める声があがっています。

巣箱を掛け替える

北海道

 ウトナイ湖サンクチュアリ内の雑木林では、小鳥たちの繁殖期を前に、巣箱の点検、掃除、掛け替えが行われました。ある巣箱は、昨年コムクドリが繁殖したもので、上から開けてみると、中にはササ、草が敷き詰められていました。

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子ども平和像除幕

京  都

 世界の子どもの平和像除幕式が五日、京都市の立命館大学で行われました。募金など建設運動に尽力した高校生、大学生ら百五十人が像完成を祝いました。像は東京、広島に続くものですが、市が用地提供を拒否したため、立命館大学に仮設置されました。(写真)

巌流島の決闘再現

青  森

 ことしの青森ねぶた祭(八月二日〜七日)に、ねぶた愛好会(伊藤素之会長)は巌流島の決闘の場を描いた「宮本武蔵と佐々木小次郎」(石谷進作)で出陣します。愛好会は「市民が主役の青森ねぶた祭」を掲げて毎年ねぶたを出しているねぶた運行団体です。

鉱山火災で申入れ

新  潟

 新潟県青海町の明星セメント鉱山の火災死亡事故で、日本共産党県委員会は六日、明星セメントの安全管理、経済産業省の対応に問題はなかったのかを明らかにし、再発防止と被害者への補償を万全にするよう県に要請。県は関係機関に働きかけたいと答えました。

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町長解職求め署名

滋  賀

 滋賀県の産業廃棄物焼却施設計画白紙撤回など求める住民団体「志賀町長の解職を求める会」が北村正二町長の解職請求署名運動をしています。町長は、危険性が指摘されている施設を「私の独断で県にお願いした」と言明するなどして、住民から批判されています。

かわいいお披露目

宮  城

 「わーかわいい」と子どもたちの歓声が飛びます。チンパンジーの赤ちゃんが人気者です。(写真)

 こどもの日、仙台・八木山動物公園でタオルに包まれてのお披露目でした。

 生後三カ月、名前はまだありませんが、近く決まります。

潮干狩りに夢中

千  葉

 潮干狩りの最盛期を迎えた千葉県船橋市の「ふなばし三番瀬海浜公園」は、休日になると家族連れでにぎわっています。「みて、みて、みつかったー」と砂まみれの子どもたちは、アサリ探しに夢中です。同公園は都心から近く毎年十万人が訪れます。

県同教への派遣中止

福  岡

 福岡県教育委員会は六日、県人権・同和教育研究協議会(県同教)へ教諭を派遣する研修制度を見直し、本年度から派遣を中止すると発表しました。元教諭や全解連の会員ら八十三人が提訴し、給与を支払っているのは違法とした福岡地裁判決を受けたものです。県は控訴しています。


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