2003年5月9日(金)「しんぶん赤旗」
![]() 新聞で報じられた自民党県議の選挙違反 |
「疑惑隠しのための不信任はあまりにもひきょうなやり方」―。徳島駅前で乗るバスを二本見送ってまで大田正候補の演説に耳を傾けていた年配の女性(78)は、思いをこめてこう語りました。徳島知事選(十八日投票)は、道理のない知事不信任に審判を下し、汚職構造や可動堰(ぜき)復活を許さず、大田知事のもとで県民主役、清潔でくらしを守る県政改革をさらに前進させるのか、それとも自民党にかつがれた天下り官僚・飯泉嘉門候補による利権構造・可動堰の逆流を許すのかどうかが重大争点です。ところが飯泉候補は、選挙戦を通じて不信任や腐敗一掃の問題に口をつぐんだまま…。無理もありません。運動の中心を担う自民党県議が、自らの選挙違反で次々と摘発されるなど、金権勢力にかつがれていることが浮き彫りになっているのです。
「私を不信任にした議員と、その組織に申し上げたい。なぜ官僚知事による、あの失敗を繰り返すような、後戻りさせるような選挙をするのか」―。大田前知事は街頭演説で、不信任を強行した自民党などの逆流勢力と徹底的にたたかう姿勢をあらためて表明しました。
大田知事のもとで清潔で県民本位の県政改革をすすめたい―。徳島県民の願いは切実です。昨年、円藤元知事が公共事業をめぐる収賄容疑で逮捕され有罪が確定。検察側は、公共事業発注には「天の声」を伝える構造的仕組みがあったことを指摘しました。しかも汚職知事は選挙のウラ金をばらまいていました。この「円藤マネー」を当時与党の自民党などの多数の県議、さらに首長まで受け取っていた疑惑が地元紙の報道で発覚。汚職構造は底無しの様相をていしています。
大田前知事は、今回の知事選の公約で真っ先に「政治腐敗防止制度の確立」を掲げています。その切り札が、弁護士や会計士など専門家による第三者機関の汚職調査団です。大田前知事は、自民党や公明党の妨害に屈せず、県民と力を合わせて、この汚職調査団を立ち上げました。
日本共産党も参加する「明るい会」代表委員の林伸豪弁護士は、汚職調査団設置の意義をこう語ります。
「信念を貫く大田さんだからこそ設置できた、全国的にも初の画期的成果。専門家が公正な立場で疑惑を徹底解明する機関です。疑惑をもたれている自民党や公明党が調査を妨害して県政を転覆しようとするのは、自らの後ろめたさの表れです」
知事を不信任してまで、疑惑隠しに必死の自民党県議たち。彼らこそ飯泉陣営の要をにぎる存在です。その金権体質が、知事選でもあらためて問われています。
「クリーン選挙願いむなし」。徳島新聞(七日付)は、社会面トップで統一地方選の選挙違反で県内逮捕者が続出していることを大きく報じました。なかでも突出しているのが自民党県議の違反です。
すでに四県議の運動員が現金買収や酒食供応で摘発されています。七日には、前県議会副議長の柴田嘉之議員の妻が数十万円もの買収の疑いで逮捕され、連座制適用による当選無効の可能性にまで発展しています。
「じつは、自らの選挙で金権選挙をやっている自民党県議ほど、陣営で大きい顔をして取り仕切っている」。飯泉陣営関係者は、こう打ち明けます。
実際、「知事選考委員会」の座長として飯泉候補に出馬要請をした元木宏議員(元県議会議長)は、運動員が現金買収で逮捕されています。告示後も元木議員は、飯泉候補が県西部の自分の選挙区で宣伝するたびに同行。候補者と行動する元木議員を見かけた井川町の住民は「買収で逮捕者まで出しているのに平気な様子だった。こんな人物の応援を受ける飯泉さんの良識も疑う」とあきれています。
妻が逮捕された柴田議員は、最近まで徳島市内を候補者とまわっていた姿が目撃されています。
逮捕者まで出している金権議員の全面的な応援をうけ、行動まで共にして恥じることのない飯泉候補。地元紙も「自民党県議の妻が逮捕され、後半戦にむけて痛手になるかも」(「徳島新聞」八日付)しれないと指摘していますが、飯泉候補も支援勢力も県民の批判はまぬがれません。
大田前知事は、県内各地で気迫をこめて訴えています。
「道理のない不信任は許せません。私は、汚職調査をはじめ、身を削る思いではじめた県政改革をなんとしても前へすすめる決意です」