日本共産党

2003年5月8日(木)「しんぶん赤旗」

化学物質の審査・規制法改定案とは?


 〈問い〉 化学物質の動植物などへの影響も審査・規制対象にする法案が出ているそうですが、前進といえますか。(東京・一読者)

 〈答え〉 一九七三年に制定された「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」(化審法、化学物質審査法などと略称)の改定案が、今国会に提出されています。人の健康への有害性だけでなく動植物など生態系への影響も規制する、既存物質も対象とするなどの改善があります。同時に、新たな化学物質は毒性判断なしに産業化できないとの現行法の原則を崩す、規制緩和も盛っています。

 化審法は、化学物質の環境汚染による人の健康被害を防止するため、▽新たな化学物質は製造する前に有害性を事前審査する▽PCBなど自然界で分解されにくく(難分解性)、体内に蓄積されやすい(高蓄積性)、継続摂取すると人の健康を損なう(長期毒性)化学物質を指定し、製造・輸入の規制・監視をする―などを定めています。

 しかし、欧米ではのちに動植物など生態系保全重視の法制度を整備しています。同様の制度を求める国内運動や、二〇〇二年のOECD(経済協力開発機構)からの制度改正勧告などを受け、今回の改定案の策定となりました。

 他方、産業界はコスト軽減などを理由に毒性検査の免除などを求めてきました。経済活力や企業秘密と環境保全の「バランス」(平沼赳夫経産相)をいう政府は、「リスクに応じた見直し」の名で規制緩和も持ち込んでいます。たとえば毒性の不明な新規の化学物質でも、環境中に放出される可能性が低いとされる使用方法と判断したとき(閉鎖系、中間物質など)は、事前審査や、事後に得た有害性情報を提供する義務の、対象外とします。これは研究などに限定されていた審査免除の、産業用全般への拡大です。「閉鎖系」でも環境放出の危険はゼロでなく、予防的方法の面からも毒性の知見が未確定な化学物質の製造・使用を企業任せにする重大な危険を含んでいます。

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 〔2003・5・8(木)〕


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