日本共産党

2003年4月28日(月)「しんぶん赤旗」

有事法制 米の先制攻撃で国民総動員

木島議員の追及から


 米国が日本周辺で先制攻撃の戦争にのりだせば、有事法制が発動し、自衛隊ばかりでなく、自治体や民間企業が米軍支援に総動員される―。日本共産党・木島日出夫議員の衆院有事法制特別委員会での追及(二十四日)で浮き彫りになった有事法制の危険を、やりとりを中心に改めてみてみました。

米軍への兵たん支援規定

 有事法制関連法案が昨年四月に国会に提出されたときと比べ、国際情勢には大きな変化が生まれています。その最大の変化として、木島氏があげたのは、(1)米国が国連安保理の多数の国が反対するなかでイラクへの武力行使にふみきったこと(2)米国が昨年九月、「脅威」とみなした国に対しては単独でも先制的な武力行使をいとわないとした「国家安全保障戦略」を策定したこと―です。

 有事法案は、日本への武力攻撃の発生だけでなく、攻撃が予測される事態(武力攻撃予測事態)から、自衛隊をはじめ自治体や民間企業が、米軍に「物品、施設、役務の提供」=兵たん支援を行うことを定めています。

米の最後通告で発動

 そうなると、米国が単独で先制的な武力行使を日本周辺で行い、その結果引き起こされる「武力攻撃予測事態」でも有事法制は発動され、日本は米軍への兵たん支援をすることになるのか―。

 木島議員 米国が先制攻撃の戦略をわが国周辺で発動し、ある国に武力攻撃の最後通告を突きつけ、突きつけられた相手国もこれに応戦する意思を表明し、かつ、米軍基地があり、日米同盟を理由に米国の行動を支持すると表明した日本にも、武力攻撃の意思を相手国が表明したような状況は「武力攻撃予測事態」に該当しますね。

 石破茂防衛庁長官 ある国がわが国に武力攻撃をかけるか、その可能性が高いと予測される場合に、日米安全保障条約にもとづいて米軍がどう行動するかというのが、この法案の核心的な部分だ。それを対象にいろいろな議論をしていくなかで、(木島)委員ご指摘のようなことがないと、私はいわない。

 石破長官は、木島氏が指摘したような事例が「ないと、いわない」と認めたのです。

 つまり、米国が実際には攻撃を始めていないのに、その最後通告を突きつけたときに、有事法制が発動され、日本が参戦する態勢がつくられる危険があるのです。

「予測事態」の原因問わず

 政府は「武力攻撃予測事態」に該当する例として、相手国が予備役の招集や軍要員の禁足、新たな軍事施設の構築などをおこない、「わが国への武力攻撃の意図が推測され、わが国にたいして武力攻撃をおこなう可能性が高いと客観的に判断される場合」をあげています。次のような場合はどうなのか――。

 木島 アメリカが最後通告の段階からさらに一歩進んで、先制的な武力攻撃が開始され、相手国がこれに応戦するのみならず、米軍基地をもっているわが国にたいして「攻撃の意図が推測され、わが国にたいして武力攻撃をおこなう可能性が高いと客観的に判断される」場面では、「武力攻撃予測事態」に該当して、この法律は動くのですね。

 石破長官 武力攻撃予測事態に至ったという場合には、この法案が適用されるということがある。前提がそう(先制攻撃)であったからこの法律が発動できないとかできるとかいう議論をするつもりはない。わが国の平和と独立、国民の生命・財産が侵される場合には、法律がきちんと動く。しかし、その前提を個々に分けて議論することには意味がない。

 この答弁は、「武力攻撃予測事態」になれば有事法制は発動される、そのさい、その原因が米国の先制攻撃なのかそうでないのかという前提の議論は同法制の発動には関係ないというもの。ここでも木島氏の指摘を事実上認めたのです。

 石破長官は「米国が国連も国際協調もいっさい無視して単独武力攻撃、先制攻撃をおこなうことは想定していない」とのべました。

 しかし、無法なイラク戦争の現実を前にしては、こんないい分は通用しません。

 しかも、こうした戦争を「国連憲章に合致する」などと強弁し、支持する日本政府が有事法制をもったらどうなるのか。米国の先制攻撃への参戦が「合法化」されることになりかねないのです。


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