日本共産党

2003年4月26日(土)「しんぶん赤旗」

失業者に低賃金の再就職を強要する通達とは?


 〈問い〉 いま、大幅賃下げとなるのを理由に再就職を拒否すると、失業者への手当支給が中断されることがあるそうですが、なぜですか。(愛知・一読者)

 〈答え〉 雇用保険法の三二条は、職業安定所の紹介する職業に就くことを拒んだ場合、失業者の手当を一カ月間支給しないと定めています。ただし就職先の賃金が「一般の賃金水準に比べ、不当に低いとき」などは例外とし、賃金水準が不当に下がる場合は、再就職を拒否する権利を認めています。

 「不当に低いとき」とは、従来の厚生労働省の基準では、地域の同産業・同職種・同年齢の平均的賃金の「一〇〇分の一〇〇」より低い場合などをさしました。ところが昨年九月、厚労省は雇用保険法の失業認定基準などを厳格化する通達を発し、「不当に低いとき」の判定基準も、平均的賃金の「一〇〇分の八〇」に下げてしまいました。いま、賃金が低下するなどの理由で再就職を断念すると、手当が中断される例が出ているのはこのためです。

 これは失業者の再就職に、平均賃金の二割までの賃下げを当然視するものです。「長期間」の失業者には「基準を多少低下させて厳格な取り扱い」をする規定もあるため、実質的には二割を超える賃下げが容認されることになります。失業者に大幅賃下げの再就職か、手当支給中断かの選択を迫るものです。

 この通達によって、前職と同水準賃金の再就職を前提としていた雇用保険法が、大幅賃下げを前提とするものに変質しています。法改悪に等しい基準改定を、国会の審議も経ない一本の通達で強行するのは不当です。

 いま国会で審議されている雇用保険法改悪案は、▽半世紀維持されてきた退職前賃金の“60%以上”の給付水準を“50%以上”に引き下げ▽自己都合により離職した場合の一般離職者の手当支給日数を、“最長百八十日”から“最長百五十日”に短縮−などを盛っています。昨年の通達とともに失業者を低賃金・不安定雇用に追い立てる狙いです。

 

 〔2003・4・26(土)〕


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