日本共産党

2003年4月25日(金)「しんぶん赤旗」

破たん相次ぐ 第3セクター

経営不振事業も多数

圧迫される自治体財政


図

 ホテルやゴルフ場、リゾート施設などの大型開発を進めてきた第三セクター(地方公共団体と民間事業者が共同出資する事業体)の経営破たんが相次いでいます。経営不振事業も多数にのぼります。これにより自治体財政への大きな負担と住民へのしわ寄せがされています。

 民間信用調査会社の帝国データバンクによると、第三セクターの倒産が二〇〇〇年度に入って急増。〇一年度に二十二件、〇二年度に十八件となっています。図)

 そのうち、今年三月に倒産したスペースネオトピアは新潟県と長岡市が出資した第三セクターです。一九九一年、上場ゼネコン(総合建設請負業者)・佐藤工業が長岡ニュータウン計画跡地利用として持ち込み、全国一の宇宙科学博物館を核とするテーマパーク建設計画を推進。長岡市内に二百十五fの土地を買収したものの、構想はうまくいかず、昨年三月には筆頭株主だった佐藤工業が倒産したため、破産に至りました。

 長岡市はスペースネオトピア計画など長岡ニュータウン関連公共事業に五十八億円も投入。スペースネオトピアに出資した二億二千五百万円はほとんど回収の見込みがありません。開発に関与した後遺症で同市の一般会計は一時、七百億円を超える借金を抱え、上下水道料金、手数料金の値上げなど市民への負担増の原因となりました。

民活法など背景に

 大型開発をする第三セクターの多くは八六年以降の民活法やリゾート法(別項)施行を背景とした設立ラッシュのなかで生まれたものです。帝国データバンクの第三セクター経営実態調査(対象、二〇〇一年四月─〇二年三月決算の千七百八社)では、レジャー・リゾート関連の第三セクターの七割、不動産・地域開発関連の第三セクターの六割が、八六年からの十年間に設立されています。

 リゾート法適用第一号のシーガイア(宮崎市)の第三セクター・フェニックスリゾートも第三セクター史上最大の二千七百億円超の負債で、一昨年二月に倒産しました。同社は三十億円の資本で設備投資などに二千億円を費やし巨額の借金で破たんしました。ついには米国系“ハゲタカ”ファンドがわずか百六十二億円で買って私企業になってしまいました。宮崎県と宮崎市は関連事業も含めこれに千五百億円を投入していました。破たんが明らかだった倒産直前にも県はシーガイア支援基金に六十億円を支出し、住民訴訟となっています。

 宮崎市では、これらの大型開発優先財政のなかで上下水道料金の大幅値上げ、家庭ゴミの回収有料化などが実施されるようになっています。

破たん予備軍なお

 前出の帝国データバンク調査では、経営危険状態とされる「債務超過」と、その「懸念」を合わせた「経営不振」の第三セクターは全体の約52%と過半数にのぼっています。とくにレジャー・リゾート関連では六割が経営不振です。多数の倒産予備軍が存在しているのです。

福祉中心へ転換を

 新潟県長岡市で市議選をたたかっている日本共産党の笠井のりお候補はいいます。

 「長岡ニュータウン計画やスペースネオトピア計画は日本共産党以外の『オール与党』体制の下で進められてきました。市長の姿勢からは破産したスペースネオトピアの跡地にかかわってさらに無駄な大開発に踏み込む危険があります。無駄な大型開発計画にキッパリとけじめをつけて、くらし・福祉優先の市政への転換が求められています」


日本共産党は当初から反対

 民活法(民間事業者の能力の活用による特定施設整備の促進に関する臨時措置法、一九八六年施行)は、中曽根内閣の「民間活力活用」路線にもとづき、地方公共団体と民間事業者が共同出資する第三セクターをつくり事業を推進。

 リゾート法(総合保養地域整備法、八七年)とともに、第三セクターなどへの税・財政上の優遇策で、国・地方自治体の財政をつぎ込んで、大企業中心の大型開発が全国で展開されました。政府は、破たんが明らかにもかかわらず、「PFI」(民間資金を活用した公共事業)や「都市再生」などの看板に付けかえてこれらの事業を継続しようとしています。

 日本共産党は法制定時から今日の事態を予測して法案に反対。各地で地方議員が、無謀・無駄な開発と開発優先の財政政策をやめ暮らしと福祉中心の政治へ、転換を要求して奮闘しています。


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