2003年4月21日(月)「しんぶん赤旗」
愛知県新城市宮ノ後、土木建築会社「松井建拓」常務松井紀裕(としひろ)さん(39)が十七日から行方不明になり、十八日朝、自宅に男の声で一億円を要求する電話がありました。愛知県警捜査一課と新城署が捜査していたところ、二十日朝、同県額田町の山林から遺体で見つかりました。捜査一課は捜査本部を設置、身代金目的誘拐、殺人、死体遺棄の疑いで調べています。
戦後の身代金目的誘拐で被害者が殺害されたのは三十四件目。松井建拓は父の守夫さん(70)が社長。
調べによると、二十日午前六時半ごろ、自宅から北西約二十キロの山林の斜面下で、地元の男性が遺体を発見。首の左右に圧迫痕があり、顔面はうっ血し、絞殺された疑い。死亡推定時刻は十八日正午以前で、犯人は殺害後に身代金を取ろうとしたとみられます。左目付近にも打撲傷がありました。
犯人は、松井さんの携帯電話を利用し、現金を用意した妻の利恵子さん(38)を振り回し、十八日午後九時前、東名高速道路上から下の道路に現金の投下を指示。県警は捜査員の配備ができなかったことから現金の投下を見合わせました。
高速道路から現金を投下する手口は一九八四年のグリコ・森永脅迫事件でも使用されており、犯人追跡の機動性について、過去の教訓が生かされませんでした。