日本共産党

2003年4月20日(日)「しんぶん赤旗」

戦争が奪った命と人生

イラク人の死傷者、損失 調査もしない米英

犠牲者記録する ボディ・カウント


写真
イラク・ボディ・カウントのホームページ

 「われわれはボディ・カウント(死体の勘定)はしない」――イラク侵略戦争を指揮するトミー・フランクス米中央軍司令官の言葉です。米軍は自軍の死者、行方不明者数は公表していますが、この戦争によるイラク人の死傷や財産の損失を調査する計画はないと明言しています。ここには、「敵」は人間と認めないごう慢な態度が表れています。

 これに対し、米英の研究者らがイラク戦争での民間人の死者数を集計するプロジェクト「イラク・ボディ・カウント」を立ち上げました。「死を引き起こす軍隊を持つ諸国の市民の義務」として、民間人の死を記録し公表して、「戦争における人間の側面」にたいする世論を喚起することが目的です。米国のアフガニスタン攻撃による民間人死者数の集計を続けているマーク・ヘロルド・ニューハンプシャー大学教授も顧問として参加しています。

 プロジェクトは、各国のメディアや人権団体の複数の情報にもとづいて民間人死者数を集計しています。その数字は、今年に入ってから四月十九日までで最小千六百五十二人、最大千九百三十九人にのぼりました。

 軍事目標を正確に攻撃するという「精密誘導兵器」では病院や市場も爆撃されました。さらに、クラスター爆弾や劣化ウラン弾、超大型爆弾などの使用が犠牲を広げています。すでにクラスター爆弾の不発弾を拾った子どもが犠牲になっています。

 イラク兵の犠牲も見落とすことはできません。戦闘員とはいえ、国際法違反の侵略戦争の犠牲者です。しかし米英側はまとまった死者数を公表していません。フランク・ソープ米中央軍報道官は、「敵の死者についての報告を現地に求めるつもりはない」とのべています。AP通信は九日、米当局者の話として四月四日以来、二千六百人以上のイラク兵が殺されたと報じましたが、主にバグダッドでの戦闘によるものとみられます。イラク全土での死者数は推計さえしていません。

 死者数の集計は、個々の人間を抽象的な数に変えてしまうとの指摘もあります。一昨年の米同時多発テロの後、ニューヨーク・タイムズ紙はテロの犠牲者一人ひとりの家族や仕事、将来設計を紹介してテロの不当性を訴えました。今回の戦争で犠牲になったイラク人は、自らの生と死の痕跡さえ残すことのできない人びとです。「あまりにたやすく無視されてしまうこのような暴力の犠牲者たちにも自らの記録がある」。イラク・ボディ・カウントの言葉です。

 それぞれの人生を生きていたイラクの人々が理不尽にも命を奪われたことに思いをいたすとき、無法な戦争をすすめる米英政府とそれを支持する日本政府の犯罪性はいっそう浮き彫りになります。

 (党国際局 紫垣ちひろ)


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