2003年4月20日(日)「しんぶん赤旗」
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政府が教育基本法の「改正」法案を今国会に提出しようとしているなか、教育関係の十五学会が共同して十九日、「教育基本法改正問題を考える」公開シンポジウムを開きました。教育研究者・教職員・学生ら約三百人が参加し、基本法「改正」を打ち出した中央教育審議会の答申について、「新たな競争と差別の教育」「国家統制を強めるもの」などの批判が相次ぎました。佐藤学・東京大教授(日本教育学会)は、中教審答申にそった「改正」では「国を愛する心」などの二十―三十もの「徳目」が基本法に挿入されると指摘。「個性の尊重」「平和主義」「民主主義」から、競争と「心の管理社会」のための教育に転換するものだと述べました。
折出健二・愛知教育大教授(日本教育方法学会)は、「改正」論がいじめや少年事件などの子どもと教育の危機を根拠に挙げているが、子どもの現実に切りこむ努力をしているのかと提起。政府がすすめている「教育改革」こそ子ども・若者の自立を脅かしているのではないかとのべました。
藤田昌士・元帝京平成大学教授(日本生活指導学会)は、「伝統の尊重」や「国を愛する心」を盛り込む「改正」は法の限度をはるかに超えるものだとのべ、文部科学省が国定教材として押しつけている「心のノート」をその先取りとして批判。中田康彦・一橋大助教授(日本教育行政学会)は、基本法「改正」で策定される「教育振興基本計画」では、教育活動が文科省の定めた数値目標に従って評価され、国家による統制が強化されるおそれがあると指摘しました。