日本共産党

2003年4月14日(月)「しんぶん赤旗」

戦争も占領もやめよ

世界で大規模反戦デモ


★イタリア

★スペイン

各国50万人

 【パリ12日浅田信幸】国際反戦デーの十二日、イタリア、スペインで大規模なデモが行われました。

 ローマからの報道によると「戦争を止めよう」委員会が呼びかけたデモには主催者発表で五十万人が参加。新しいスローガン「際限のない戦争ノー」の横断幕を先頭に共和国広場から古代競馬場跡のチルコ・マッシモまで行進しました。チルコ・マッシモでは数百メートルに達する虹の旗が広げられました。

 また、スペインからの報道によると、バルセロナでは三十万人、マドリードでは二十万人が「戦争反対」を叫んでデモ行進しました。

 バルセロナでは戦争で殺された人々への弔意を表し、黒塗りのタクシー八台がデモを先導。続いて学生の集団が黒一色の横断幕を掲げて行進しました。マドリードでは多くの人が黒装束に大きなろうそくをもってデモに参加しました。

 イタリア、スペインでは、対イラク戦争をすすめたブッシュ米政権と、これを支持した自国政府に対し、世論は引き続き強い批判的立場を堅持しています。

 イタリア共産主義再建党のベルティノッティ書記長は十一日、「イラク戦争は終わったかもしれないが、予防戦争(先制攻撃)論と、この政策をとる米政権がある限り、この戦争が際限のない戦争の第一弾でしかない恐れがある」と警告しました。

★フランス

不法な戦争

 【パリ12日浅田信幸】「イラクはイラク人の手に」「占領軍は撤退せよ」―パリで十二日、米英軍のイラク侵攻と占領に抗議し、主催者発表で一万五千人が反戦デモを繰り広げました。

 デモで叫ばれるスローガンも「戦争反対」から「占領」批判に変わりました。イタリアの平和運動から広がった虹の旗が目立つデモは、イタリア広場からモンパルナス駅まで約二キロを行進しました。

 空爆で両腕を失ったアリ・アバス君の写真を張りつけ、「ブッシュ、ブレアに法の裁きを」と書かれたプラカードをもった弁護士のシルバンさん(32)は「連合(米英)軍が勝ったといっても、戦争が不法、不当であった事実に変わりない。民間人を殺害したのは戦争犯罪だ。責任者はすべて法で裁かれるべきだ」と語りました。

★インド

人間の鎖で

 ロイター電によると、インドの大都市コルカタ(旧カルカッタ)で十二日イラク戦争に抗議するデモがおこなわれました。一万五千人の参加者は米英両国の領事館を囲んで人間の鎖を作りました。

 主催者のムカジーさんは「バグダッドは米軍に制圧されたかもしれないが、米帝国主義への抗議を続けます。かれらは人類の文明を支配しようとしているからです」と語りました。

★バングラデシュ

2万人参加

 またバングラデシュの首都ダッカでも同日、二万人が参加した反戦デモがおこなわれ、「米英軍によるイラク占領」に抗議しました。参加者は「ブッシュとブレアの軍隊はイラクから出てゆけ。二人とも人類の敵だ」と叫びました。

 同様の抗議デモはチッタゴンなどほかの都市でもおこなわれました。

★メキシコ

「沈黙デモ」

 【オアハカ(メキシコ南部)12日菅原啓】イラク戦争に反対する国際共同行動が呼びかけられた十二日、メキシコの主要都市で大小の抗議デモが組織され、約十万人が参加しました。

 首都メキシコ市では、平和組織や市民団体、労働組合に加え、国会の上院やメキシコ市議会が初めて決議を上げて市民の参加を呼びかけたこともあり、この間最大規模の五万人が参加。「戦争反対 われわれは平和を望んでいる」「ブッシュ大統領に世界が審判を下そう」などと訴え、革命記念塔から憲法広場まで行進しました。

 メキシコは、米国からの圧力にもかかわらず、イラクへの武力行使に賛成していません。デモに参加したカルロス・ロハス上院議員は、メキシコが国連安保理議長国(四月中)として、平和を追求する姿勢を維持し続けるとともに、メキシコに圧力をかける米国の「横暴な態度を糾弾しなければならない」と強調しました。

 南部オアハカ州の州都オアハカでのデモには約五千人が参加しました。

 オアハカ州の文化遺産保護事業を担う公的機関「プロ・オアハカ」と平和団体などが共同で組織したもの。参加を呼びかけるビラには「侵略軍の即時撤退を要求する」と書かれていましたが、戦争犠牲者を悼む気持ちを強調するため、プラカードもシュプレヒコールもない「沈黙デモ」の形で実施されました。

 参加者は平和を象徴する白い服に犠牲者を悲しむ思いを込めた黒リボンを胸につけ無言のまま行進。サントドミンゴ教会横で開かれた集会では、地元の小学生アンヘリカさん(11)が、「私の願いはただ一つです。戦争が終わりますように」と述べ、大きな拍手を浴びました。

「米英の戦争犯罪だ」

★ドイツ

写真

12日、ベルリン市内を行進するデモ参加者(片岡正明撮影)

 【ベルリン12日片岡正明】ドイツのベルリンで十二日、イラク戦争反対の集会・デモがおこなわれ、約一万五千人が「米国は侵略と占領をやめよ」「文明が破壊され、ギャングが世界を支配するのか」などの横断幕を掲げて市内を行進しました。

 晴天に恵まれたデモには、ケーキでつくられた戦車などユニークな山車や、ベビーカーで参加した家族の姿が目立ちました。

 子ども連れで参加していたクラウディア・ブーナーさん(35)=女優=は「戦争では罪のない人や子どもがたくさん殺されました。この侵略戦争を正当化させるわけにはいかない」といいます。

 「米英の戦争犯罪だ」というのはアムネスティ・インターナショナルのドイツ支部のマラグ・カメネスキさん。

 「クラスター爆弾などを使って無差別に市民を殺したことは国際法違反に問われるべきです。いまイラクの人々にとっては、安全と食料・水の確保が必要です。占領軍が人権を守るかどうかも重要です」

 イラク以外で米国が戦争を起こす危険性を懸念する声もあります。

 ラウラ・ウィズマーズベルヒさん(68)は「戦争は続いています。米国は中近東で利益を得るため、今後も戦争をするのでは」と心配します。大学生のクラウディオ・ヤクスさん(24)は「米国が国際法を無視したことは重大だ。今後、このような戦争を起こさせないために、デモに参加しました」といいます。

「ブレアは辞任せよ」

★イギリス

写真

12日、ロンドンでの反戦デモで首相官邸近くで戦争犠牲者追悼の花束を渡す参加者(西尾正哉撮影)

 【ロンドン12日西尾正哉】「どれだけのイラクの子どもたちを犠牲にしたんだ」―若者や子ども連れの家族が怒りの声をあげました。「戦争やめろ」「占領するな」をスローガンにした「戦争ストップ連合」主催の十二日のデモ・集会には、ロンドンで二十万人以上(主催者発表)が参加しました。首相官邸前では、参加者が持参した追悼の花束やカードを並べ、「トニー・ブレアは恥を知れ」「ブレア首相は辞任せよ!」のシュプレヒコールを響かせました。

 参加者はイラクのフセイン政権が崩壊した現在も、米英によるイラク戦争の不当性に厳しい怒りを感じています。

 ロンドン在住のディアドラさんは、「米英の戦争の理由はいかがわしい。現在も、罪のない市民が傷つけられている。将来のためにここに来た」と今後とも不当な戦争に反対し続けていく決意をのべました。


もどる
「戻る」ボタンが機能しない場合は、ブラウザの機能をご使用ください。

日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp