日本共産党

2003年4月10日(木)「しんぶん赤旗」

ブッシュ無法戦争 <16>

標的は報道機関

“市民流血報道”への報復


 「米軍の標的になったに違いない…」。八日午前、アルジャジーラの記者が死亡したとのニュースを聞いた瞬間、本紙カイロ支局の若い女性アシスタントは悲鳴をあげるとともに、こうつぶやきました。

「まさかここは」

 数日前からバグダッド周辺に展開し、地上と空から市内中心部に激しい攻撃を加えていた米軍は八日、朝から相次いで報道関係者を標的にしました。カタールの衛星テレビ局アルジャジーラの事務所が米軍のミサイルに直撃されたのにつづき、多くの報道陣が取材拠点とするパレスチナ・ホテルが米軍戦車の砲撃をうけたのです。同ホテルでは英ロイター通信のカメラマンとスペイン民放テレビのカメラマン計二人が死亡しました。

 アルジャジーラ事務所は、イラク情報省に近い住宅地にあり、爆撃をうけた当時、近辺の住民が同事務所に避難していました。アルジャジーラは事前に米軍にたいし事務所の位置を通知しており、住民も「まさかここは爆撃されないだろう」と考えたからです。

 アルジャジーラ爆撃をうけ、すぐ近くに事務所を構えるアラブ首長国連邦のアブダビ・テレビのスタッフがかけつけ、死亡した記者と負傷したカメラマンを屋外に運びだす作業に協力しました。米軍は直後、このアブダビ・テレビ事務所にまで爆撃を加えました。

 アルジャジーラは一連の事態をうけ、「米軍は真実を隠すためにアラブのメディアを爆撃した」と伝えました。実際、同テレビはイラク戦争開始以来、米軍の戦況報道に明け暮れる米など一部メディアとは逆に、バグダッドだけで五人の記者を配置し、戦争で被害をうけたイラク市民の様子を克明に取材し報道してきました。

 それを象徴したのが七日、米軍によるバグダッドの共和国宮殿占拠をめぐる報道でした。米国の一部テレビが共和国宮殿に突入し内部を捜索する米軍の「スクープ」映像をこれでもかと放映するなかで、アルジャジーラはごく短時間、事実のみを伝えただけで、多くの時間をあてて、米軍の爆撃で負傷し病院にかつぎ込まれる市民や、負傷者でごったがえす病院内の模様を放映したのです。

 八日、カタールにある米中央軍前線司令部の定例記者会見で米軍は報道機関への攻撃を厳しく追及されました。

 「わが支局への攻撃はバグダッドでの流血を報道する必要はないと考えているからか」(アルジャジーラ)

 「ホテルにいた記者はだれも中からの銃声を聞いていないと言っている」(ロイター通信)

開き直る准将

 「ホテルのロビーから撃たれたと言うが、それならなぜ戦車は上階を狙ったのか」(英スカイニュース)

 スポークスマンのブルックス准将はしどろもどろ。「ジャーナリストを標的になどしない」「(ホテルからの)銃撃がどこから来たか正確には私が言い間違えたかもしれない」「戦場とは危険なものだ」。言い逃れ、開き直りに終始しました。

 ワシントンで会見した米統合参謀本部のマクリスタル作戦副部長は「米軍の行動は自衛措置だ」などと驚くべき立場を表明しました。

 しかし、同ホテルが砲撃を受ける前に、近辺からイラク軍が銃撃などしていないことを多くの記者が指摘。ロイター通信の記者は「戦車が大砲の向きをホテルに合わせるのが見えた。次の瞬間、砲弾が部屋に飛び込んできた」と言っています。

 同ホテルには報道関係者二百人から三百人が宿泊し、取材と報道の拠点にしており、イラクのサハフ情報相も記者会見を同ホテルで行っており、バグダッドで最も安全な場所だといわれていたのです。米軍はホテルの存在を十分承知のうえで砲撃を加えました。

 ジャーナリストへの攻撃は、イラク戦争で今も続く民間人への無差別殺人の延長です。

 アラブ・ジャーナリスト連合は八日、声明を発表し、「米侵略軍は故意にジャーナリストを標的にした」と米国を厳しく糾弾しました。

 パレスチナ・ホテルでは八日夕、多くの報道関係者がろうそくを灯しながらこの日の犠牲者を追悼。米国への怒りを表明するとともに、真実を報道しつづける決意を固めあいました。(カイロで小泉大介)


世界の記者が抗議 「意図的かつ無警告」

 ジャーナリスト攻撃に対し世界中から批判があがっています。

 国際ジャーナリスト連盟(本部ブリュッセル)は八日、報道機関に対する米軍の砲爆撃を「戦争犯罪」と断定し、「ジャーナリストを標的としたことは疑いなく、重大かつ深刻な国際法違反」「責任者は法によって裁かれるべきだ」との声明を発表しました。

 国境なき記者団(本部パリ)はラムズフェルド米国防長官に書簡を送り、パレスチナ・ホテルとアルジャジーラ事務所を意図的に狙ったものか説明を要求。さらに声明で「米軍がジャーナリストを意図的かつ無警告で標的にしたことを疑うとともに非難せざるをえない」とのべました。

 独ジャーナリスト協会もベルリンの米大使館に抗議の書簡を渡しました。ニューヨークに本部を置くジャーナリスト保護委員会はラムズフェルド米国防長官に書簡を送り、ジャーナリストはジュネーブ条約で戦時の保護対象となる民間人にあたると指摘。徹底的な調査と再発防止策を求めました。

 南ドイツ新聞は「切符を持っている記者と持っていない記者がいる」と論評し、大勢の記者を従軍させて戦果の報道に利用する一方、従軍記者以外のジャーナリストのことをかえりみない米国を批判しました。(パリ浅田信幸、ワシントン遠藤誠二、ベルリン片岡正明、外信部・山田俊英)


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