日本共産党

2003年4月9日(水)「しんぶん赤旗」

“戦後”語る前に残虐攻撃やめよ

米英が無期限の軍事占領構想


 国際法を踏みにじってイラクに軍事侵攻した米英軍は、政権を転覆した後もイラクに不法に居座ろうとしています。ブッシュ政権がねらう戦後処理は事実上、無期限の軍事占領になる見込み。この裏には、米英による戦争を合理化する黒い企てがあります。いま必要なのは、“戦後”論議の前に現在の残虐な戦争をただちにやめさせることです。


イラク人民、 国連を下に

 英米のマスコミが伝えるブッシュ政権のイラク統治構想によれば、第一段階で米英軍の軍事占領下で米国の退役将軍をトップにした再建人道援助局(ORHA)を設置。水や食糧、医薬品、電力の確保にあたるとしています。

 第二段階でORHAのもとに、イラク亡命者などからなる暫定政府を樹立。

 さらに第三段階で何らかの選挙を経てイラク人による政府を樹立するとしています。

 構想には米政権内外の異論の調整が必要とされています。しかし、特徴的なことは、これらの三段階を通じて国連が排除され、米軍占領下で補助的な役割しか与えられていないことです。米英間に国連の役割をめぐる思惑で相違はありますが、基本的な構図では同じです。また米軍の直接統治をいつまで続け、イラク人による政府に引き継ぐのか目標も期限も設けられていません。米軍のいいなりになる政府ができるまで事実上、無期限の違法占領が続けられます。

アラブ諸国は怒りあらわに

 「イラクの民主化」といって軍事占領を正当化する米英にたいしイラクやアラブ諸国からは強い批判が上がっています。アラブ連盟のムーサ事務局長は「B52や戦車にのって民主主義がやってくるものか」と怒りをあらわにしています。

 「人民弾圧の王政や強権政治を支えてきた米国が突然民主主義といっても信用できない」(エジプト誌のファリーダ・ナカシュ編集長)というのが大多数のアラブ民衆の気持ちです。イラク攻撃の出撃基地となったクウェートのモハメド外務担当国務相でさえ「イラク人民の自決権が否定されること」に懸念を表明しています。

 フセイン政権に反対して米政府の後押しを受けているイラクの諸勢力は二月にイラク北部で開いた会議で「米軍政に反対する」と決議しています。その一つ、イラクのシーア派勢力「イスラム革命民族評議会」(SCIRI)の幹部は「米英軍による占領の色合いがますます濃くなっている」と懸念を表明。クルド民主党(KDP)も「軍政はうまくいかない」と批判しています。

 「フセインが排除されたからといって喜べない。米国がバグダッドにかいらい政権をつくり利用しようとしているからだ。平和どころか暴力の新たな波が押し寄せるだろう」

 オマーンのある教師の言葉を紹介したロイター通信は「米英は中東やアラブ諸国の人心を失っている」と報道しています。

 しかも米政権は、イラクの占領を「中東民主化」の第一歩と位置付け、イランやシリア、さらにサウジアラビアやエジプトの「民主化」(体制変革)の意図も隠していません。アラブ諸国民のなかには、米英の狙いは中東の石油支配とイスラエルの安全確保だとし、イスラエルと米英軍にたいする「中東インティファーダ(蜂起)」を叫ぶ勢力もあります。中東の今後は安定どころか矛盾の激化と噴出が避けられないでしょう。

日本にも役割占領支配加担

 米英主導の戦後処理には独仏ロをはじめアラブ諸国や非同盟諸国が反対しています。各国は米英の侵略戦争の「事後承認」を拒否するとともに、イラク再建にはイラク国民の主権を尊重し国連が中心的役割を果たすべきだと主張しています。

 そうした反発と批判をかわすため米英はさまざまな策略を練っています。イラク統治への「分け前」をちらつかせてロシアやフランスの取り込みをはかっているのもその一つですが、日本に協力させて重要な役割を果たさせようとしています。

 八日付フィナンシャル・タイムズ紙によれば、暫定統治機構の各部局に英、オーストラリア、日本などの代表を「顧問」に任命し、「最上級の役割」を果たさせることを計画しています。日本がこうした米国の思惑に協力すれば、国連を脇に置いた不法な占領支配への加担として批判を浴びることになるでしょう。(田中靖宏記者)


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