日本共産党

2003年3月31日(月)「しんぶん赤旗」

ブッシュ無法戦争 (9)

主権を守る反戦運動

米圧力下のチリ


 イラクへの武力行使容認決議案に、安保理非常任理事国として最後まで同意しなかった南米のチリ。反戦運動家たちは、「平和と主権を守る運動の結果だ」と強調しています。

 米国からの説得工作、圧力はし烈でした。米国が最大限に利用したのは、昨年末に両国で締結された自由貿易協定の扱いです。同協定は、鉱産物や果物など米国市場への輸出向け産品を生産しているチリにとっては死活問題。米国はチリが戦争を支持しなければ、米議会が同協定の批准を拒否するだろうと脅しをかけたといわれています。

協定たてに脅し

 駐米、駐中国大使を歴任したアルマンド・ウリベ氏は、「ラゴス大統領には連日のようにブッシュ大統領から電話がかかっていた。自由貿易協定が持ち出されたのは疑いない」と断言します。

 この圧力は、チリの政権与党、とくにラゴス大統領の出身母体であるチリ社会党の態度に影響を与えました。社会党は当初、武力行使につながる決議案には絶対反対の態度を機関決定し主張していました。ところが米英決議案の採択間近になると大統領と与野党代表者の会談で「棄権もやむなし」との態度に変化したのです。同会談に出席していたチリ共産党のホルヘ・インスンサ国際担当責任者は「米国の圧力が社会党幹部に及んだ結果だ」と指摘しました。

 チリ大学院大学がおこなった世論調査によると、国民の98%が戦争反対です。チリは一九八三年に発生した米国によるグレナダ侵攻の際、当時のピノチェト独裁政権も侵攻に反対、「対外干渉反対、紛争の平和解決」を看板にしています。

 こうした原則、国内世論と米国からの圧力のはざまで発表されたのが新たな国連決議の妥協案でした。三週間以内にイラクが大量破壊兵器廃棄の意思を示す五つの条件を満たすよう求めるとしたこの提案は、実はブレア英首相からの要請を受けてチリ政府が提案したものだったことが明らかにされています。

 前出のウリベ氏は、「ブレアは与党内も含め強硬な反対意見に直面していた。武力行使を先送りする提案を米国に示したが拒否されていた。そこで中間派の中からチリを選び、新提案をするよう要請したのだ」といいます。しかし、この新提案もブッシュ政権から即座に拒否されました。

依然続く圧力

 結局、戦争は始まり、チリ政府は戦争回避に努力したというイメージを保つことができました。米国からの圧力は依然として続いています。外務省関係者は、ブッシュ大統領が最後通告を行った十七日の演説直前、チリ駐在の米国大使がチリ政府に「非公式」外交書簡を手渡し、米国非難やイラク問題解決の国連特別総会開催などのイニシアチブには加わるなとの要求を突きつけたと証言しています。政府は具体的な反応は示していませんが、戦争開始後の大統領のコメントは、遺憾を表明するだけで、国連無視の戦争と米国への非難の言葉はありません。

 戦争開始後も、チリの反戦運動は日増しに高まっています。その中で中心的に活動しているチリ教員組合のハイメ・ガハルド議長は「このたたかいは戦争に反対するだけではない。チリの主権を守るたたかいなのだ。ラゴス大統領には、米国非難を明確にするようひきつづき圧力をかけていく」と決意を語っていました。(サンティアゴで菅原啓)


もどる
「戻る」ボタンが機能しない場合は、ブラウザの機能をご使用ください。

日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp